古紙輸出市況:旧正月明けも古紙にタイト感 輸出価格上昇

  ■ 古紙輸出市況:旧正月明けも古紙にタイト感 輸出価格上昇

2021年2月24日

世界中の物流や物価にまで影響を及ぼしている海上運賃の上昇に一服感が出てきた様だ。決してコンテナが潤沢にあるわけではないが、旧正月前は比較的Bookingが取りやすくなったように感じた。春節前に輸出が減少した事も影響している様だ。

また製品の輸出フレートより古紙のフレートの方が高くなった為、船会社が比較的コンテナを出してくれている。古紙は相場ものであるため価格柔軟性があった事で、船会社がお断り価格で出した高いフレートも容認する動きが強かった。 さらにBOOKINGが取れるようになったことにより、他社より高い設定をしていた船会社が一段階フレートを下げてきた港もある。

台湾向けの海上運賃も最高値は一時2,000㌦を超えていたが、上値が1,500-1,200㌦に落ち着いたことで平均海上運賃は1,100㌦前後まで軟化しているのではないだろうか。

輸出商社側も、万が一高いフレートのBOOKINGしか取れない場合に対するヘッジを少し弱める事ができる様になってきた事により、円安も相まって円貨ベースの古紙輸出価格が若干値上がりした。  

 アジア古紙市況と今後のコンテナ状況

アジア向けの古紙輸出価格は、旧正月明けも崩れる様子は今の所ない。 北米からのアジア向け船積みは引き続きタイトな状況で、アジアの地元古紙回収量も少なくなっている事から古紙在庫は少ない状況となっている。 

米国古紙は旧正月前に東南アジア・インド向けのBOOKINGが取りづらかった為に台湾へ流入し、台湾の価格が190~200㌦付近まで若干軟化した。しかし2月以降パルプ価格の急激な上昇を受け再び200㌦台に乗せ、現在はAOCC 200~210㌦付近での取引となっている。

現在の相場はJOCC CIF TAIWAN $195-205(CY\15.0-15.5/kg) CIF CVIETNAM $225-228(CY15.5-16.0/kg) CIF INDNESIA $235-250 (CY16.0-16.5)となっている。

海上運賃の値上がりは一服したものの、コンテナ不足自体は今後も暫く継続するとみられる。 船会社の話では旧正月期間中の荷動き停滞により輸入の貨物も減っている。 中国からの船足は3日~7日程度で、この期間に輸入されるコンテナは2月末ごろから影響が出てくる。再度コンテナが取りづらい時期が始まる可能性が高い。

我々紙業界は世界中でエッセンシャル業種と認められ、都市封鎖中も稼働を許可されている国が大多数だ。 海上輸送も同様にエッシェンシャルだと私は思っている。 もちろん肺炎の流行する中、閉鎖的な空間で航海を続ける船員さん達には頭が下がる。しかし異常なまでに運賃が上昇し、船会社各社が過去最高益を出す事に違和感を感じずにはいられない。コンテナ不足と過剰な高運賃設定は国を挙げて対策を講じるべきではないだろうか。

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