■ 海上運賃が急激に軟化 貨物量が激減 9月古紙出荷量減少も影響
2022年9月3日
ウクライナ戦争勃発後、荷量の減少などに伴い軟化傾向にあった海上運賃が先月よりさらに大幅に下落した。欧州や中国の景気減退に伴う荷量の減少が加速し、上海-北米向けの航路は8000㌦を割り込み一か月で1000㌦以上軟化している。中国-欧州向けは4000㌦前後にまで下がった。一時の高値から比較すると40%以上下落している。
アジア航路も同様で全面安の傾向にあるが、船会社の焦りのようなものを強く感じる。9月は古紙価格が大幅に軟化した事を受け、日本からの古紙輸出量は大幅に減少する見通しだ。現在のところ古紙問屋は国内プレミア価格の交渉待ちで、建値を割り込んだ輸出価格に成約を遅らせている。発生量も少ない為、在庫するという選択肢もある様だ。
古紙のBOOKINGが思うように集まらず、船会社は競うように海上運賃を下げ始めている。スポットレートだが一部の航路では1週間で半値にまで下がった所もある。円安や運賃の軟化は円貨にして㌔当たり1~2円程度価格押し上げ効果がある為、輸出価格を若干強めている商社も見られる。
しかし、足元ではEOCC価格は150㌦を割り込み始めている。ベトナム向け価格は180~170㌦が一つのボトムとみていた。(日本の古紙屋店頭18円を割り込み、EOCCもFOBゼロになってしまう為)
しかし欧州では天然ガスの供給がなお一層タイトとなり、消費が縮小。製紙の休転も相次ぐため輸出圧力の強まった古紙価格は再度軟化を始めている。EOCCはCIF ASIA 150~145㌦前後まで下落し、この海上運賃の軟化はサプライ側ではなく、バイヤーに還元されている様だ。 今後割高となった日本の古紙も再調整される可能性は高い。