■ 日本製紙 来年1月1日より印刷用紙など15%以上値上げ
2021年11月5日
日本製紙は4日、印刷用紙、情報用紙、産業用紙をいずれも15%以上値上げすると発表した。石炭及び原油などの原燃料価格高騰や化学製品など副資材の値上がりを反映させる。
印刷用紙は新型肺炎の影響により需要が大幅に減退、テレワークやDX化によってペーパーレスが進んだ事で今後需要が完全には元に戻らない事が想定される。コスト高と消費量減少による収益低下を値上げによって改善する狙いがあると思われる。
印刷用紙の値上がりは欧州や北米では年初以来値上げが続いている。原燃料の高騰に加え、主原料であるパルプ価格が上昇したことで製紙企業の収益は圧迫された。またCO2排出削減など厳しい環境負荷軽減目標を掲げる欧州では、環境に関わる投資が増加するなど製紙企業のコストが増加し製品への転嫁が急がれる。
また先行き不透明感の強い印刷用紙事業から撤退、あるいは段ボールへの転抄も相次いだ事で需給も締まった。海外からも海上運賃の高騰で調達しづらいため、環境要因が値上げを後押しした。
日本国内の洋紙の値上げは約3年ぶり。王子HDや大王製紙が追随する可能性があるとみられる。
日本製紙は今年9月末に釧路工場(北海道釧路市)を閉鎖したほか、来年5月には石巻工場(宮城県石巻市)の主力設備の一つを停止する予定だ。