■ 日本製紙 豪州オーロラ社から板紙事業部門を買収
2019年10月19日
日本製紙は10日、オーストラリアのオローラ社から豪州・ニュージーランドの板紙パッケージ部門を17億2000万豪ドル(約1243億円)で買収する事を発表した。
取得資金は、みずほ銀行からブリッジローンで調達した後、国際協力銀行(JBIC)からの借り入れ、社債発行などで賄う。
オローラの板紙パッケージ事業は、板紙や段ボール、紙器の製造販売を手掛け、売上高は14億2,600万豪ドル(1,031億円)、営業利益9100万豪ドル(66億円)従業員数は約3300人。
古紙回収から、段ボール原紙及び段ボール箱等の製造・販売やパッケージング関連資材・サービスの提供に至るまでを一貫して展開し、オーストラリア及びニュージーランドにおいて高いシェアを有している。
日本製紙は紙の国内需要が減少する中、成長が見込める海外事業を強化する狙いだ。
両国では中国などアジア向けの農産物や肉類の輸出が増えており、今後も段ボールの需要増が見込めると判断した。事業譲受期日は2020年1月31日の予定。
日本製紙は2009年オーストラリアンペーパー(AP社)の4工場のうち主力2工場(売上高550億円、税引前利益18億円)を約360億円で買収している。AP社は豪州の印刷・情報用紙で25%のシェア、そのうちコピー用紙では60%のトップシェアを誇る。
オーストラリアの紙市場は洋紙・板紙合わせて390万トンと、日本の1割程度。1人当たり紙消費量も日本の8割程度と高くない。だが日本とは逆に、市場は年平均3%程度の拡大傾向。国内生産の割合も30%で、大半を高コストの輸入紙に依存する。
国内最大手である王子HDが海外への進出を強める中、日本製紙は海外進出が出遅れている。AP社の買収で海外売上高比率は約12%から15%に高まったが、今回の買収で同国における相乗効果とさらなる海外進出の足掛かりとしたい狙いだ。