■ マーケットハイライト:来年のライセンスは12月中に交付される見通し
2018年11月28日
11月も下旬に入り今年も残すところあと1ヶ月となり中国国内古紙、原紙価格は一段と下落している。 今のところ船足の短い日本の古紙価格はまだ高めの価格で推移しているが、中部組合は不調に終わり中国の需要に怪しい雰囲気が漂っている。
来年の輸入ライセンスは11月1日から申請が始まり12月中旬から下旬にかけて一部交付されると噂されている中で中国大手製紙メーカーはすでに年明け到着分の古紙を買い始め、11月中旬から船足の長いEOCCは年明け到着分として$200-$215/tの価格をつけている様子。 日本品については年明け到着分について未だオファーが来ないが、価格の軟化はあっても多少の荷動きはあると思われる。
24回目の輸入ライセンスが発表され、発行されたライセンス総量は1,850万t近くとなった。昨年の輸入実績より700万t以上少ない量となったわけで、年末に向けたライセンス枠の消費需要から日本の古紙価格は高止まりしているが、日本からの年間輸出総量は前年度よりも若干少なくなる見通しだ。
今年は夏場に水害に台風、古紙の回収が少なく国内製紙メーカーも秋口から輸出価格を超える価格をつけ古紙のかき集めに動いた。 しかし、古紙の回収率は数年前から80~81%前後で推移しており、今年も上記水害等はあったが82%程になる見通しだ。
日本の少子高齢化、人口減少に加えスマートフォンの普及に伴う紙の消費減が深刻化する中でなぜ原料となる古紙が不足し取り合いとなるのだろうか。当然ながら紙の消費が減れば古紙発生量も減るのだが、本来ならば日本の古紙は2割ほど輸出しなければたちまち溢れかえってしまう。
今年の古紙輸出量は前年度比98%と微減、輸出率も18.1%と二割を超えていない中でこういった現象が起こる理由は昨今の古紙の国際市場化といった日本国内だけの需給だけで決まらない事実がある。 しかし、輸出率と古紙回収率、紙の消費減の数字だけを見るとどうしても辻褄が合わない一面があり、その他統計を交えて細かく見なければわからない背景があるのではないだろうか。