マレーシア政府 今後2年間、新規製紙工場建設許可発給を停止

  ■ マレーシア政府 今後2年間、新規製紙工場建設許可発給を停止

2022年4月16日

マレーシア通商産業省(MITI)は、今後2年間、製紙企業の工場建設に係る新規許可を停止する事を発表した。 3月15日以降、新規工場の建設、転抄、増産、買収に係る許可の新規発給が停止され、この決定は製造業許可取得の免除を受けていた小規模工場にも適用される。 既にライセンスの発給を受けている玖龍紙業など、中華系企業の製紙工場建設には影響しないとみられる。

今後ライセンスを取得していない企業の製紙原料、製紙用部品の輸入には関税が賦課され、許可を得ず紙の製造を行う行為は違法となり、罰金や懲役を科される。 一方で中小零細企業で資産価値59万㌦以下、あるいは従業員数75名以下の中小製紙企業は許可の取得を免除される。 マレーシア政府は今回の決定を7月より再開される古紙の輸入規制を確実に管理監督する為としている。

マレーシア政府はマレーシアの経済発展の為、外資系に対する規制を緩和、優遇措置を設ける事で中華系製紙企業を数多く誘致した。 当時中国では古紙の輸入禁止措置が発表され、原料不足に対する対策が必要となった為利害関係が一致した形だった。しかし2020年2月マハティール首相が辞任し、マレーシア政府の方針は大きく変わった。 古紙の輸入増加に伴い環境汚染が懸念される事や、莫大な税収を見込める事から昨年末には古紙の船積み前検査の導入が決定し、滞りなく古紙を輸入できることにメリットを感じていた製紙企業は寝耳に水の様な状態だ。地理的に米国古紙を購入するにはややコスト高だが、古紙の輸入規制が一切なかったことは製紙企業にとって大きかった。しかし今後輸入コストが増大する上に、AMIXの様な安価な未選別古紙を買う事は難しくなる。

マレーシアの古紙輸入規制が実施されれば、DSAOCC#12などより品質の良い古紙にオファーが集中する事となるだろう。

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