■ 栄成紙業上海での株式上場断念
2018年9月30日
9月10日、台湾・栄成紙業は予定していた上海株式上場計画を断念したことを発表した。
同社は台湾系大手製紙メーカーで、既に段原紙事業は台湾から中国へシフトし台湾本国より大きく成長している。 中国に複数ある製紙工場は順次生産量を伸ばし、中国東部地元ではトップメーカーの役割を果たしているが、今年2月、古紙の輸入ライセンスが取得できなかったことによる調達不足が原因で、湖北省に位置する工場に於いて再生ライナー年産45万トンを3か月ストップせざるを得ない状況となっていた。
10日の発表で最高財務責任者(CFO)である鄭永剛は「中国のローカル製紙企業に比べ古紙の輸入ライセンスが平等に交付されなかったこと、それに伴い高騰する国内古紙を使用することを余儀なくされ、本年度上半期の収益は大幅に下落した。
下半期の古紙使用量が20万tとすると、輸入古紙との価格差は平均1000RMB/t (16.5円/kg), 2億 RMB(約33憶円)も発生している。さらに米中の貿易戦争により米国古紙は#11から#12以上に切替、USD240から300付近まで買い付け価格が上昇した。米国品の調達困難によりヨーロッパや日本の古紙も連動し上昇したことも収益を圧迫している。」とコメントした。また、10憶元を投資し台湾で年間30万トンの再生パルプを製造、中国の工場へ提供することを検討している旨付け加えた。但し中国政府からこの再生パルプが課税される可能性については未だ不透明な状況だ。
今後の計画として、来年7月に稼働予定の湖北省第二抄紙機は輸入古紙を使用せず年産30万tの段ボール原紙を製造することになる。2021年の同社生産能力は400万tとなる見込みで、本年第四四半期に資本金を3%取り崩し現金資金増強を計り財務状況を改善するとしている。