中国輸入古紙規制問題:香港で古紙余剰問題 ライセンス例外付与

中国輸入古紙規制問題:香港で古紙余剰問題 ライセンス例外付与

2017年10月25日

世界中の古紙市況に影響を及ぼしている中国の古紙輸入規制問題は、香港の古紙の古紙リサイクルにも大きな影響を与えた。

約737万人が暮らす香港は人口密度6544人/k㎡と東京の6223人/k㎡を超える人口過密の小さな都市だ。月間4万トン以上の大量の古紙が発生し、その殆どは中国国内に持ち込まれリサイクルされているが同じ国とは言え物流は輸入扱いとなっている。

世界中のリサイクル原料界を騒がせている輸入ライセンスの更新問題は香港の古紙の中国への持ち込みを停滞させ、香港で行き場を失った古紙が大きな社会問題となった。事態を重く来た中国政府は緊急措置として大手2社(リーマン社、ナインドラゴン社)にそれぞれ3万t/月ずつの輸入枠を設け、香港の古紙輸入を許可したがその香港の輸入規制緩和は中国全土に波及し市況のパニックを巻き起こした。

輸入再開により価格が下落すると過剰に反応した中国古紙問屋は大量の在庫を一気に販売、製紙メーカー側も購入を一時的に見合わせた。一部ブローカーによる船着した輸入古紙を緊急に投げ売りしたこともパニックを助長し、古紙価格は700RMBから1500RMB、特に浙江省、華中地区の古紙価格が大きく値下がりした。

 香港古紙の輸入解禁

一方環境検査基準をクリアし古紙の輸入ライセンス残をもった製紙メーカーの輸入古紙の買い付け量は増加し始めている。古紙の輸入ライセンスは依然更新されてはいないが、税関から自主規制を促されていた製紙側に、香港の輸入解禁を皮切りとして規制が緩和された情報が入った様子。加えて共産党大会の新聞発行のために新聞古紙の特定製紙メーカーに対する緊急輸入措置が取られている。

なんだかんだ中国マジックがおこり「なぁなぁ」になってきているのか当初の断固とした対応とは一変、大手製紙メーカーも12月にはライセンス更新もされるような動きを見せている。裏で中央政府と話がついているのだろうか。

10月18-24に開催された中国共産党第19回全国代表大会が終了したことも大きな要因だ。党内選挙が終了しピリピリした緊張感が緩んだのだ。

規制の緩みから中国国内に比べかなり割安感があり、かつ船足の短い日本の古紙に製紙メーカーはオファーを出し始めた。これから年末に向け徐々に船足の長いアメリカ古紙買い付けは収束を向かえ日本の古紙にシフトしてくると思われる。

 来年以降の規制

ライセンスは年明けには更新されるだろうとの見解が有力だが、何らかの禁忌品規制が設けられるとの情報もある。年明け後船着になるアメリカ、ヨーロッパ品の買い付けは各社様子見をして、日本品を重視するのではないだろうか。ベトナム、タイ等の東南アジア製紙メーカーは直近数か月の輸入増で古紙在庫は過剰になりつつある為おとなしい。

中国の業界紙によると来週には中国の国内古紙価格下落は一服するだろうとの事だ。今回の価格下落で古紙の回収業者に大きな損失がでており、個人回収者である彼らは古紙の回収に早くも嫌気がさしてきているらしい。同紙は昨今の古紙価格の高騰が、徐々に増え始めた国内古紙の回収率に水を差す形になることを懸念している。また古紙の発生は11月11日の「独身の日」に大量に増えると予測されるが、輸入古紙の量は再開したといえど製紙メーカーの需要を満たすものではなく、下落した古紙価格は徐々に戻るのではないかと記載している。

最新情報をチェックしよう!