中国ライセンス更新状況:3月16日8回目の交付、3社のみの交付に留まる。
2018年3月17日
3月16日に8回目のライセンス更新が発表されたが、7回目までの発表頻度に比べしばらく間が空いた発表となった。
7回目と8回目のライセンス更新に間が空いたにも関わらず今回の更新は3社6工場、そのうち理文社(江蘇工場)はすでに交付を受けた許可分の港変更であった為、実質3社5工場、131.56万トンの交付という形だ。その交付を受けた3社の内「玖龍社(天津、河北、東莞)理文社(重慶)」は前回の発表までにすでに交付を受けており追加交付とみられ、新たに交付を受けたのは徳彦社1社に留まっている。
中国の情報筋によると今回20日間もの期間が空いたが3社のみの交付に留まった理由としては、3月中旬に全国人民代表大会が開催され関連省庁の主要権限者が不在であったことが理由としてあげられるが、一方で古紙の輸入に於いて品質基準をクリアできずシップバックを受けた事例が数多くあったことが大きな要因だという。具体的には2月24日、浙江省嘉興港に陸揚げされたアメリカ古紙40feetコンテナ22コンテナ分約400t(10万ドル相当)を開梱検査したところ雑物及び規格外古紙が2.76%混入しており新法案の施行前ではあったが、基準を大きく超過していた為シップバック処分となった。
また3月15日寧波検査当局にてアメリカからの輸入古紙432トン(時価総額9万ドル)の検査実施をしたところ基準に満たない古紙が発見されシップバックとなっている。
3月1日の新基準が施工されて以来最大のシップバック事例は3月12日に山東省環境検査局により公表された案件で、アメリカから船積みされた古紙57コンテナ、1208.1トン、時価総額は25万ドルにも及ぶ事例で対象の古紙には廃プラ、木片、ワックス紙等雑物が1.2%混入しており新基準の0.5%を大幅に超過していた。
山東省黄島検査当局によると直近1週間で韓国からの輸入古紙に於いて連続8回の不合格事例が発生し合計で178コンテナ、4,205トン(時価総額77万ドル)がシップバックされた。これは同期間に韓国から輸入された古紙数量の90%以上に相当し、山東省と浙江省にて輸入基準を満たさなかった古紙は過去1ヵ月以内で6,000tに達した。
中国の新古紙品質基準に基づく輸入規制によりアメリカやヨーロッパ古紙も分別状況が改善されつつあり、特にアメリカでは選別ラインに大型投資を行った業者もある。今までのシップバック分は1ヵ月以上前に船積みされた船足の長いアメリカ品がメイン、中国の新品質基準は12月末に公表されたことから品質改善がされる前のものか、あるいは改善された品質も中国の新基準には適合しなかったのか、いずれにせよEOCC90/10グレード及びAONPは今後さらなる品質向上をしなければ輸入は難しいと思われる。
中国側のバイヤーは比較的高いAOCC#12よりもEOCC 2/98を購入したい様子だが、大手製紙メーカーは$145-150しか値付けしておらずアジア諸国の購入価格より$10ドル程度しか差がない為、シップバックのリスクからサプライヤー側から敬遠されている様子。
今回中国代表大会とシップバックの問題で予想より許可を受けた企業が少なかったが、今週から来週にかけて新たにライセンスが交付される噂もあり、一部バイヤーに買いの動きがみられる。上記の背景もあり分別・品質面からリスクの少ない日本品に引き合いが来ておりが若干高値を付けている業者もいる様子。