中国雑誌古紙輸入規制問題:ライセンス更新は行われず

  ■ 中国雑誌古紙輸入規制問題:ライセンス更新は行われず

2017年8月25日

7月に行われた中国国内での製紙関連企業に対する環境監査は1300社あまりの企業の内64%にあたる800社で違反及び不備が発見され、古紙の輸入ライセンス更新は保留、一部違反の酷い企業はライセンスの返上を要求されるという事態を招いた。

中国共産党に太いパイプをもつ某大手製紙でさえ輸入規制を命じられ中国国内では圧倒的な古紙不足により原紙の生産に大きな影響が出始めている。

9月初旬まで各商社はこの輸入規制は一過性のもので、直にライセンスが更新され反動で古紙価格が高騰すると予測していた。某中国大手製紙の社長も10月初旬でのライセンスは更新されるだろうとの見解であったが、中国政府からライセンス更新は発表されず、逆に中国全体で60万㌧もの輸入ライセンス枠の返上が決定した。

玖龍社は下半期の輸入ライセンス残にて購入を続けており、自社バースでの一時保管等対処している。しかし購入価格を大幅に下げた上に数量も限定的の様だ。

一方輸入古紙は入ってこない事により中国国内の古紙価格は高騰し、直近では$450-480(JPY50円前後)と中国史上類を見ない高い古紙価格となった。しかし中国の自国回収率は49%前後と50%を割っており、さらには秋儒及び再来する「独身の日」への備えもあり原紙在庫もみるみる減少した。古紙価格が一旦暴落した今年の3月、中国の主要メーカー原紙在庫は130万㌧を超えていたが、8月時点の在庫は32万㌧まで減少している。

原紙が生産できない製紙メーカーは収益源をカバーすべく、製品価格の強硬的な値上げを実施している。通常90~150日ある手形の即時現金支払い及び、今後の原紙供給には前金を要求する事としている。

原紙価格は中芯価格で70円代後半までに上昇しており、BOX価格も対策年度比250%と超高騰したダンボール箱は今や希少な高級品と化し、昨年年末の段ボール泥棒も再度発生しかねない状況の様だ。

今回のナショナルソードは再生資源による環境汚染の防止と中国国内の資源物回収率の向上を目指す中国政府の目的もあるが、上記の様な異常な古紙買い取り価格が続けば必然的に古紙回収率は上がると思われる。

中国国内での回収率は現段階で一般の持込古紙を中心に増加すると思われるが、二次ステップとして古紙の回収分別を含めた古紙ヤード建設といったインフラ整備が必要となる。タイやベトナムではある大手製紙会社が自社資本で古紙ヤードを建設した。既設古紙問屋が少なく自国回収率の低い環境では製紙会社の直接投資による古紙ヤードの出店も盛んに行われていく可能性もある。

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