■ スウェーデンLessebo Paper社 電気代暴騰で生産停止
2022年9月7日
北欧スウェーデンの印刷用紙メーカーであるLessebo Paper社は電気代高騰を理由に8月31日から生産を停止した。 同社の電気代は1日に5.8万€(1200万円)を超え、年間1900万€(270億円)に達する価格にまで高騰した。以前は年間300万€(4.2億円)で電気代は6倍以上に上昇した事となる。
スウェーデンは化石燃料資源に乏しく、電力原料は豊富な水資源を利用した水力発電が40%、原子力が同じく40%、木質燃料などのバイオマス発電や熱供給が7%を占め、風力発電は10%となっている。化石燃料への依存度は1%未満だが、そのスウェーデンでさえ電力高騰の煽りを受けているという。
欧州では電力を各国で融通しあう電力輸出入が一般的で、エネルギー自給率が70%を超えるスウェーデンは電力を輸出する電力純輸出国であった。しかし2019年に国内の発電量の20%を担うリンガルス原子力発電所が停止、ポーランドやドイツから不足する電力を輸入する様になった事で、大雪など他国の事情に電力価格が大きく左右される様になった。
昨今のロシア天然ガス供給停止による欧州電力危機と、熱波によって風が吹かず国内の発電量が減少した事で欧州全体の電気料金が高騰。 9月初旬にスウェーデン政府は高騰しすぎた電気代に、家庭や製造業に対し900億クラウン(84億3000万ドル) の補助金を出すことを決定した。
欧州では原燃料価格や電気代の高騰を理由に製紙休転が相次いでおり、ドイツのMetsä Tissue社や、同じく北欧ノルウェーのNordic Papeも電力価格高騰を理由に8月30日から3日間の操業停止を実施している。