韓国公正取引委員会 コンテナ船23社に92億円の課徴金

  ■ 韓国公正取引委員会 コンテナ船23社に92億円の課徴金

2022年1月22日

韓国の公正取引委員会は18日、コンテナ船社23社に対し海上運賃の談合があったとして、総額962億ウォン(約92億円)の課徴金を課すことを発表した。公正取引員会は、2003年から18年の間に韓国―東南アジア航路で計122回の談合があったと認定し、是正命令を出した。 これに対し海運業界は大きく反発し、すぐさま行政訴訟に乗り出す方針だ。

事の発端は2018年に木材合板流通協会が韓国の公取に海運業界の談合疑惑を告発したことが始まりとなっている。

公取側は「運賃談合のための共同行為が必要最小限の範囲を超えている。また共同行為を行うには荷主団体との事前協議と海洋水産部への申告が必要でその要件を満たしていない」との判断をした。

 海運業界は「行政容認の元で共同行為を行ったと認識しており、共同行為の要件は満たしていた。課徴金は海運業界全体に危機をもたらし、第二の韓進開運が発生する可能性がある。危機に追い込まれる海運業界支援の為課徴金賦課を再考する必要がある」として今回の課徴金の決定を不服とし上訴する構えで対立が深まっている。さらに韓国国会に対し海運法による共同行為に対し公正取引法を適用しないよう海運法改正案を推進して公取委に圧力をかけている。

海運側の主張は 韓進海運の倒産を受け、韓国政府が「海運再建5か年計画」を発表。運賃の適正化を含め業界の健全化の為行政主導での談合としている。しかし韓進海運の倒産は2017年で、2003年以降の談合に対する今回の調査に対して上記の事例を持ち出すのは不可解である。

課徴金の対象となったのは12の韓国船社と台湾、シンガポール、香港船籍の11社。現代商船や高麗海運、南星海運、エバーグリーン、WHL、CNC、MAERSK、など大手船会社が含まれている。

2020年の新型肺炎の流行以降海上運賃が大高騰し、海運業界は未曽有の高利益状態となっている。異常な運賃高騰が世界のインフレを招き、物資不足など経済活動阻害している事態となっている一方、船会社は次々と巨額企業買収案件を発表。エバーグリーンではボーナスが月給の40か月分を支給するなど異常な状況となっている。当案件は2018年以前の談合に対する決定であるが、コンテナ海運業者上位10社が市場の70%以上を占める現状に於いて世界は警戒感を示し始めた事を表しているのではないだろうか。

 海事調査会社アルファライナーのコンテナ船社ランキングによると、スイスのMSCが428万4,728TEUで1位。デンマークのマースクは427万7,274TEUで2位。運航隻数ベースではマースク736隻,MSC645隻。以下仏CMA CGMグループ(318万2,157TEU,567隻),中国COSCOグループ(293万2,779TEU,479隻),独ハパク・ロイド(174万5,032TEU,251隻),わが国のONE(154万540TEU,210隻),台湾エヴァーグリーン(147万7,644TEU,204隻)。

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