■ 韓国大洋製紙で火災、年産40万tの工場が停止 中国事情も重なり原紙価格上昇
2020年10月15日
10月12日午前一時頃、韓国の大洋製紙(新大洋製紙グループ)の安山工場で火事があった。同工場の敷地面積は3万6,128㎡、工場面積は2万3,184㎡。年産30万tと11万tの中芯マシンが2機あり30万tマシンは全焼、11万tマシンも半壊で修復に1年以上かかかる見込みだ。
火災の発表後KOCCの輸出価格は$10㌦以上急落した。KCOO 98/2 CIF VIETNAM $150が140㌦以下まで下落。今回大洋製紙の火事によって国内の段ボール古紙消費が3万㌧/月以上縮小する事、また来年以降の中国の古紙輸入問題から急遽輸出へ逃がそうと引き合いが強まった。
‘18年のKOCC輸出量は38万㌧(月3万㌧)、韓国古紙問屋にとって今回の火事により年間輸出量と同量の国内消費が一時的になくなる事への懸念は大きい。韓国国内OCC建値は130ウォン(11.7円/kg)、水分引きを入れると問屋手取りは110ウォン(9.9円/kg)程度で輸出価格が常に高い状態となっているが、国内への出荷比率高く古紙が余剰する事への警戒感も強い。
一方で韓国国内の原紙価格は急激に上昇している。新型肺炎と米中貿易戦争、日韓問題やウォン安等煽りを受けた韓国中芯は年初300㌦を切るほど下落していたが、今回の事件を受け$80㌦前後値上がりした。大洋製紙はグループ段ボール工場への供給分を確保すべくアジアのメーカーへ引き合いを出している様子だ。しかし日本を始め東南アジアメーカーにはすでに来年の古紙輸入禁止を見越した中国コンバーターからの引き合い、
また現地経済の再稼働による需要が増えている為、思うように調達は進んでいない様だ。スポット価格とはいえ韓国相場は$360~前後まで上昇し、来年の中国需要も相まってアジア全体で原紙価格が値上がり傾向となっている。