■ 国内製紙・古紙状況:輸出価格下落で国内プレミアム価格も弱含み。北上製紙廃業
2018年1月30日
直近の輸出向け店頭価格は国内建値の18円を下回る形となり一旦は底を打ったような状況だが、各製紙メーカーの古紙在庫は余剰となっており1月末より荷止めを始めているメーカーもある様だ。
1月~2月は例年古紙の非発生期であるため極端な影響はまだ出ていないが、古紙問屋に出されている店頭価格にも差がでてきており、段ボール古紙のプレミア価格は外れ建値に近い価格で取引されている。国内優先の問屋、輸出比率の高い問屋でその危機感はそれぞれではあるが、いずれにせよ年度末の古紙発生が増える3月までに中国向けの輸出が回復しなければさらなる輸出価格の下落もありえる状況で、全体的にかなりの荷余り感がでる可能性がある。
国内製紙メーカーの買値は特に高止まりしていた新聞古紙価格が弱含みとなっており、ピーク時到着30円/㎏を超えていたプレミア価格も26-27円前後まで下落している。
原因としては新聞の販売が良くないこと及び昨年から雑誌古紙の輸出が滞ったことによりチラシ等の古紙が選別され、新聞よりも安値感があることから製紙メーカーに引き受けされたことも要因の一つの様だ。また、新たに決定された中国の古紙品質基準では雑物、規格外古紙の保有許容率は0.5%以下とされ、新聞古紙の輸入はリスクと取られている為中国向けの引き合いも弱い。しかし新聞古紙自体の発生量は年々減少傾向であることには変わりはなく、直近の値下がりは意外ではあったものの数か月で価格は回復するのではないかと個人的には考えている。
1月16日に日本製紙傘下の北上製紙が2018年7月で廃業することを決定した。同社は岩手県に工場を持つ段ボール原紙、再生クラフト、新聞紙等を製造する製紙会社だが、年間9-11万トンの古紙を消費している。
北関東エリアには大手製紙メーカーが数社あるが、それらの製紙メーカーに早くも北上製品の代替えとして引き合いがきており、その原紙販売の帰り便による古紙引き取りの流れも新たにできると予想される。直近の需要増から特に中芯原紙の不足が目立つが、さらに北上製紙の月産7,000-8,000tの原紙製造がなくなることにより、北関東の原紙供給過多状況は若干解消されるのではないだろうか。