■ 国内古紙市況:輸出価格下落も国内メーカーの対応はまちまち。年明けは価格再高騰?
輸出古紙価格は8月末より下落を始めているが、国内製紙企業は原紙価格の値上げの理由として古紙価格及びその他原料価格の高騰を理由にしている。国際相場の下落は一時的だと判断しある古紙の買い支え、9月中は「輸出対応価格」が残り到着27円~25円前後の高い買い取り価格も継続した。
しかし中国の輸入ライセンス更新は年内ほぼ絶望的な状況となり、2ヶ月連続関東古紙輸出組合は不調に終わった。古紙価格の下落が世の中に周知される事態となってしまった。9月末輸出古紙価格は古紙問屋店頭15円を割り込む等、国内建値よりも低い価格まで落ち込んでいる。
業界にはこの古紙価格の低迷が今後いつまで続くか不透明な状況に、国内の原紙値上げには水を差してしまわないか危惧する声が業界にはある。しかし年明けのライセンス更新時には50円近くまで高騰した中国国内古紙価格に引っ張られ、再度古紙価格の急騰を招く可能性が高い事から原紙価格の値上げの断念はできないのではないだろうか。
10月以降の国内古紙購入価格は各社未定だが、その購入方針は各個それぞれで将来30円超える古紙価格を見越して建値~20円前後での購入継続、将来の値上げ時の古紙問屋との落としどころに備えた方針を取るメーカーもあれば、今こそと新規受け付け分等は建値以下の引き取り、あるいは荷止めをアナウンスしているメーカーもある。
9月中旬までは国内古紙買い取り価格の高止まりから古紙の余剰感は薄かったが、10月以降製紙メーカーも古紙在庫が余剰となり荷止め、輸出価格もOCC13-15円レンジで推移すると予測される為行き場を失う可能性がある。特に雑誌古紙に関しては将来の見通しも絶望的な状況だ。未選別で輸出グレードとして取り扱われた物は処分してしまわざるを得ないのか、今後その処理方法が課題になってくると思われる。一時的に地方等地価の安い地域に在庫保管する方法も検討されている。特にヤードの狭い関東エリアの雑誌、及びその他古紙は深刻だ。