■ 日本政府 造船・海運業を支援する法案を閣議決定
2021年2月5日
日本政府(国土交通省)は2月5日、造船・海運業を支援する法律の改正案を閣議決定した。造船業の国際競争力を高めるため、業界再編や最新技術導入に関する計画を認定、支援する仕組みを作る。また高性能な船舶を導入する海運会社への優遇措置も導入し業界の活性化を目指す。
造船会社が事業の再編やロボットの導入など効率化につながる計画、海運業者は温室効果ガスの排出量の少ない船舶を採用するなど計画を策定し国に申請、認定を受けると
① 政府系金融機関による長期間の融資
② 技術開発に対する補助金
③ 新会社を設立する際に固定資産税の軽減など優遇措置
を受けることができ、国際競争力につなげることを目的とする。 また海運業は事業者に労務管理の法改正により、労働環境を改善し若い世代の船員が定着しやすくする狙いもある。
四方を海で囲まれた日本は貿易の99.6%が海上輸送となっており、造船業は日中韓3カ国で世界の約9割のシェアを占める。
韓国の造船業は1990年代後半に低コストを売りに急成長し、それまでトップだった日本を抜き世界一になった。16年の海運市場全体の低迷によって韓国造船大手3社が巨額赤字に陥行った際に、『大宇造船海洋』に対し韓国政府は巨額の資金援助を行い、韓国の造船業は17年に再び世界一位となる。
また『現代重工業』が『大宇造船海洋』を買収し世界シェア20%を持つ巨大企業となった。日本政府は公的資金の投入と合併は独占禁止法に触れると抗議している。
海運業界は伝統的に欧州勢が強い。世界のコンテナ船企業のランキング(TEUベース)はMCC(デンマーク)15.4% MSC(スイス)14%、CMA(フランス)10.5%、COSCO(中国)7.9% 、EVER(台湾)5%となっており、日本企業はランク外となっている。
売上ベースでは日本郵船が5位に入るも欧米・中国企業は合併を繰り返し巨大化してきている。
18年日本三大商船(日本郵船・商船三井・川崎汽船)のコンテナ事業が合併しONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス)を設立した。同社は昨年12月24日、正栄汽船との間で、24,000TEUを超える世界最⼤級の超⼤型コンテナ船6 隻の15年⻑期傭船契約に関する基本合意書を締結している。