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日本古紙輸出通関統計:価格低迷も輸出量は回復

  ■ 日本古紙輸出通関統計:価格低迷も輸出量は回復

2019年8月30日

日本の輸出通関統計によると、6 月船積み段ボール古紙の輸出量は前月比 141.7%の 16 万 7,349t と大きく回復していたことがわかった。

前年度同月比でみると78.1 とやはり少ない数字に変わりはないが、16.7 万tの輸出数量はじつに昨年の秋需並みの水準だ。 低迷した輸出価格は当時 CIF $85~110  (CY   8.0-9.0/kg)程と5~6 月が底値であった上に6 月の降雨量は全国で平均並み、北海道や関東では例年の2 倍以上と冷夏多雨の影響で古紙の集荷が悪かったはずだが、7~8  月に掛けての国内の SD や盆休み、岳南排水を前に輸出出荷が多かったことが数字として表れた結果となった。

実際価格が反転した 7 月には多雨・冷夏による飲料と青果物の段ボール需要減も重なり、古紙問屋の在庫は少なく思う様に古紙の買い付けができなかった様に思う。  6  月の輸出数量を仕向国別で見てみると、台湾、韓国、ベトナム、タイ向けが大きく増加しており、一方中国向けは 98.3と微減している。  特にタイ向け、韓国向は前月比 600~700、台湾及びベトナム向けも  200近い数字となっている。

輸出

しかし 1-6 月通年での輸出数量合計は東南アジア向けも前年度比 88.57と減少しており、米中貿易戦争による経済鈍化の影響が色濃くでているのも事実だ。    この  6 月の輸出増加は本年の世界古紙需給バランスを見なければ日本の古紙が世界の古紙に優先して東南アジアに輸出されたものか、東南アジア自体の消費が増えつつあるのかは判断できないが、日本の OCC 中国依存度は昨年64.0%から59.1 と-4.9  ポイント減少し中国以外の第三国に徐々に切り替わっていく傾向があることは間違いない様だ。

しかし今月の東南アジア市況はまた欧州品の投げ売りが始まっており軟化傾向、原紙の消費地である中国経済が鈍化している限りは買手市場が続く状況に変わりはなく需要が強いとは言えない。  

今後も東南アジア向け輸出量と価格はその需給に応じて増減を繰り返しながら 3 年~5 年かけて緩やかに増加するのではないだろうか。

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