■ 日本国内の紙・板紙需給
2018年12月1日
紙の需給バランスをみると、紙・板紙の消費量は2015年から3年で29万t減少、生産量は35.9万t減っており生産過剰だった紙業界の再編と生産調整が進んでいると言える。
一方輸入も円安の影響を受け2012年のピーク時の221万t/年から17年は134万tまで落ち込んでいる。 対して輸出量は12年に80万t/年であったが、昨年は180万t、今年は200万tを超える見通しだ。 中国の紙バブルが牽引するアジア全体の紙相場の値上がりとアベノミクスによる円安が手伝った。
対前年度比でみると紙の消費量は80万t以上(1-9月時点前年同期比65.6万t 減)減少しているが生産量が32万t(1-9月時点前年同期比23万t 減)の減少に留まっている背景には、輸入量が24万t減ったこと及び輸出量が20万tと前年度比11%増と大きく伸びたことが理由だ。
結論、古紙の回収量、紙の生産量(古紙の消費)は同じて減っているものの、生産量は原紙輸入が減り、輸出も好調な事から消費量ほど減っておらず、また国内向け生産も洋紙マーケットの縮小が主で古紙を多く使う板紙は減っていない。 古紙の国内消費(回収量-輸出量+輸入量)は昨年比46.6万t減った中、紙・板紙の生産量は32万tの減小、国内の古紙使用量は7.5万t(1-6月時点前年同期比4.3万t 減)しか減らない見込みで39.1万t/年(3.2万/月)の古紙が今年不足している計算となる。 古紙問屋の話では10月以降台風・水害の影響は落ち着き、古紙発生量は戻りつつあるとのことだ。 それでも新聞・雑誌の発生量は年々減少しており少ないが、年末に向け段ボール古紙の回収量は例年並に戻ると思われる。