■ 日本古紙輸出通関統計:東南アジアへシフトする古紙輸出
2019年9月10日
段ボール古紙の輸出先が中国から東南アジアへしつつある状況が通関統計に表れている。7月の輸出実績に於いてもその数字が如実なものとなった。
全体の輸出総量は対前年度比で減少したものの、国別では特にベトナム向け輸出が大幅に伸びており前年度比2848%と昨年の20倍以上輸出されていた。中国向け輸出が月々減少する中で、製紙の進出が進んでいるベトナムへの輸出は堅調のようだ。
東南アジアではインドネシアが古紙船積み前検査基準を強化している為、特に大きな規制の掛かっていないベトナムやタイへの輸出が増えている様だ。日本品のみならず北欧、米国古紙も多く輸出されている為、その価格は陥没価格となっており台湾やその他の国に向けより10㌦程安い価格帯となっている。
ベトナムにはレンゴー系のSCG社が段ボール原紙の製造拠点を持っており、正隆社もホーチミンにて30万tの中芯マシン今年4月から稼働し始めた。 その他中小合わせ600万t近い増産計画が発表されており、丸紅社も製紙工場を建設予定だ。
ベトナム以外の東南アジアにおいても2025年までに1,500万t~2,000万tの段原紙増設と中国からの移転が計画されている。
米中貿易戦争の影響で直近の紙需要そのものは下振れしているが、やはり予想通り近い将来東南アジアの古紙需要はさらに拡大しそうだ。さらに日本からの輸出はフレートと価格の問題から少ないが、インドもその輸入を伸ばしており、2018年インドの古紙輸入量は対前年度比+95.3%増と大幅に伸びている。