■ マーケットハイライト:1月の輸出量は10年ぶりの低水準
2019年3月28日
1月の古紙輸出数量が大幅に下落し20万㌧を割り込んだ。 20万㌧以下という数字はリーマンショック以来10年ぶりの数量で、1月の古紙価格暴落と出荷パニックが過去度々あった価格変動とは全く違うものであることが数字として表れてきた。
また日本からの板紙輸出数量も米中貿易戦争の煽りを受け滞り、5ヵ月連続の前年度比割れとなっている。 古紙価格の下落は世界と中国の情勢を如実に表れしているが、実体経済への影響が未だ大きく感じられない日本でもやはりその影響が徐々に出始めているのではないだろうか。
日本国内では古紙原料高と運賃・人件費高騰による原紙値上げが二年連続行われているが、販売先によって最終製品(ボックス)の価格が決着していない企業もある。
毎回のことながら時間を要する日本国内の製品値上げが完遂する前に世界の古紙マーケットが変化してしまった形となってしまった。 この数年日系企業も資材調達に於いて世界相場に合わせるべきだという意見も多く聞かれ、石油、鉄鋼資源と同様に古紙も国際市況に合わせざるを得ない現状となっている。
しかし古紙は資源であると同時に古紙回収はインフラでもある。 海外企業で働く私が言えた義理ではないが他人の茶碗に手を突っ込んでいる海外製紙メーカーの事情に振り回され、それに順応しすぎる事も社会貢献とインフラ維持を考えたときに必ずとも正しいとは言い切れず難しい判断になるのも事実だ。