■ 中国古紙市況 大手を中心に古紙輸入ライセンス発行
2018年1月29日
1月29日現在ライセンスが交付されている古紙全品の総量は419.03万トン。2017年1-3月の中国輸入古紙実績777.343万トンに対して約53.9%の許可がなされた形だ。昨年の実績の内アメリカ古紙の輸入は333.127万トンで全体の42.85%を占めており日本からの輸出量は83.401万トンで約10.7%の数量だった。777.343万トンの中でOCCの輸入量は464.213万トン、内訳はAOCC174.128万トン、JOCCが30.313万トン。
今回の交付されたライセンス数量の殆どが大手製紙メーカーに対して行われたものであり、419万tの内訳は玖龍社系168.5万t、理文系77.3万t、山鷹系63.7万t、その他(42社)109.53万tとなっている。大手3社の総量は309.5万tで73.8%にも及び大企業への優遇措置が伺える。
交付されたライセンスの多くがアメリカ古紙の輸入枠に充てられたとみられ、次の更新まで日本古紙への購入枠の割り当て分がない状態のメーカーが多い様だ。
しかし最大手である玖龍社でさえ今回の許可は168.5万t、昨年の年間輸入許可量は841万tに対し今後四半期ごとに順調に取得した場合でも674万t(168.5万x4期)、昨年の80%ほどの数量にしかならない。
2016年の玖龍社の生産量は約1,331万tであることから674万tでは生産量の半分しか古紙が輸入できないことになる為、残りは国内の古紙を調達あるいは、パルプ比率を上げるか減産という選択肢しかない。そこに中小企業の淘汰が起きた場合さらなる原紙不足と価格の高騰を招くことになり、再来する「独身の日」を含め今後の中国マーケットはどうなるのだろうか。これ以上の過剰な原紙価格の高騰はユーザーの紙離れを促進してしまう為、原料安の製品高に沸く中国大手製紙メーカーにとっても行き過ぎた環境政策は諸刃の剣になるのではないだろうか。
今後中小メーカーのライセンス更新が順次なされる可能性はあるが、日本の商社は与信上大手製紙メインで取引をしており中国国内での輸入古紙転売が禁止されている新法案の基、小・零細メーカーが日本品を買うというのも考えにくい。一部のライセンスを取得した中規模メーカーが購入を再開してくれることを願いたい。
環境問題から古紙の輸入ライセンスが取得できない栄成紙業(湖北工場)は1月18日から4月中旬までの3か月間、1号機(年産40万tライナーマシン)を中国の新環境基準に対応した改造のため休転することを決定した。例年旧正月の休転期間はあるものの今回の3か月にも及ぶ長期休転により10.3万tの原紙生産が止まることになるが、今後環境問題で行政指導を受けたその他のメーカーも改造の為の休転を余儀なくされる可能性が高い。
上記の状況から12月末の関東組合は段ボール古紙店頭19.45円/kg(CY21.05)という形で落札されたが、その後輸出価格は下含み1月初旬にはCY19.5/Kg、2月出荷分の中部組合価格は店頭17.42円(CY\19.
0/Kg)、関東組合は店頭¥16.9/kgまで下落した。ライセンスの規制と関係のない東南アジアメーカーもアメリカ、日本の古紙が潤沢に入った上中国向け原紙の需要が冷めたことにより購買意欲は弱い。
年明けから輸入された日本の雑誌古紙が品質問題からシップバックされたとの情報がある。原因は段ボールが多く混入していた?広東省からのシップバックがあったと聞いているが真相は定かではない。しかし中国税関と検査当局が極めて神経質になっていることもあり、「新聞古紙の新聞比率は70%-80%以上、段ボール古紙が混ざっているものは受け付けない」といった厳しい姿勢を取っていることは事実でアメリカの古紙問屋からは反発の声も上がっている。