マーケットハイライト:追加ライセンス発行。古紙価格再上昇

  ■ マーケットハイライト:追加ライセンス発行。古紙価格再上昇

2020年10月28日

10月18日に追加の輸入ライセンスが交付され、国慶節明けに日本の古紙価格は再び過熱し始めた。 

現時点では米国欧州からの船積みは年末までの通関に間に合わず、ライセンスを得た各メーカー高値をつけ日本品の購買に動いている。 しかし200万トンも発行された22回目の輸入ライセンス、年末まで残り2か月で日本品のみの調達にて充足することは不可能、そのうち一定量は予め購入しすでに洋上にあるヨーロッパ古紙に割り当てる予定だという。

中国国内の原紙価格と古紙価格は軟調で、9月上旬には2,800~2,900RMBであった中国ローカル古紙も10月末現在2,200 RMB付近へと10円以上下落している。 

 水害被害で日本の古紙発生量は少ない

日本国内の古紙は台風や水害、地震の影響で発生回収が非常に悪く、日系製紙メーカーも古紙在庫が少ない状況だ。 古紙調達に価格は後決め兎に角量を集める動きをしており、輸出を上回る価格帯も一部出している様子、国内外メーカーによる購入競争が原因で価格はさらに過熱、目下日本の古紙は中国ローカル古紙より高いという現象が発生している。 

それにしても関東組合の過剰なまでの高騰具合にはあっけに取られるが、すべて中国系製紙及びブローカーによる落札、日系商社は各社入札を見合わせている。 中国以外の販売先がこの価格競争に追随できないことも理由ではあるが、短期的口銭を稼ぎたい外資系と、リスクと長期的観点から、組合落札に価値を見出せない日系に温度差が出てきているのではないだろうか。 

 ライセンス発行の見通し

 気になる来年の古紙輸入ライセンスだが、中国のエージェントの話では11月1日から来年度分を申請できるとのことだ。大手製紙会社は去年同様12月末時点で交付を受けることができるのではないかと期待感も出てきているが、来年の発行数量は今年より30-40%減、1,000万t位になると噂されている。 

しかしアジア各国も古紙及び廃プラスチックの輸入に規制をかけ始めており、古紙の販売先はやはり中国頼み、今後も古紙の市況は米中貿易戦争と中国の環境規制、古紙輸入ライセンスの行く末が大きく影響を及ぼすのは明らかだ。

一方で2020年の固形廃棄物輸入禁止リストには古紙が記載されていないことが明らかになった。今年年始に古紙を含む固形廃棄物を2020年までに輸入ゼロにする計画とした中国国務院の発表と矛盾するが、詳細は現在調査中だ。 しかし各中国製紙メーカーは中国国内外にパルプ工場を建設、あるいは買収し古紙に依存しない資材調達に方向転換を始めている。

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