ウクライナ侵攻 原油価格暴騰で軽油価格上昇 古紙回収にも影響

  ■ ウクライナ侵攻 原油価格暴騰で軽油価格高騰 古紙回収にも影響

2022年3月8日

ロシアによるウクライナ侵攻で、世界の原油市場は供給減への警戒感から2014年以来の最高値を記録した。3月7日、WTI原油価格は1バレルあたり125㌦を超える水準まで上昇しており、150㌦を超えるとの予測もでている。 

原油価格はインドや中国など新興国の経済発展と、環境保護とCO2排出削減が叫ばれる中、企業イメージ悪化を避けるため世界的に新規採掘に対する投資が減少した事が要因で近年上昇傾向にあった。

原油価格の上昇と連動しトラックの燃料となる軽油価格も高騰している。2022年3月の軽油平均価格は138円と前年度比で4割以上上昇している。 また昨年中国が尿素輸出を制限した事で品薄感から国内の尿素価格も上昇した。 運送業界では燃料価格が1円上昇すると、運送業界全体のコストが150億円上昇すると言われ、昨今の軽油価格高騰は死活問題と言われるほどに運送業界を苦しめている。

さらに運送業界を悩ませているのは荷量の減少と働き手の不足だ。通販需要が活況で運送業界は仕事が増えている様に思われがちだが、実際に増えているのは宅配事業だけで、貨物運送に於いては人口減や景気失速によって市場は縮小している。 さらに働き方改革によるによって、24年にドライバーの労働時間が制限され、さらに多くの交代人員を確保しなければならない。 しかしドライバーの不足と高齢化が進んでおり、仕事は重労働低賃金というイメージから若手の働き手がいないのが現状となっている。

こういった背景から昨年後半以降トラック運送会社やその関連企業で倒産や廃業が相次いでいる。 昨今のウクライナ情勢による軽油価格の暴騰は、さらに中小運送会社の経営を悪化させ、倒産案件を増加させる恐れがある。

燃料価格の高騰は当然、物流が要となっている紙パ業界に於いても影響がでている。今年に入り運送会社から㌔単価数十銭の値上げ依頼が来ている。この状況に於いても数十銭という控えめな値上げに頭が上がらない。 企業努力というものに感謝しながら、我々紙パ業界も、製品値上げを完遂し運送会社を含めた収益改善と、デフレ脱却を進める必要を感じた。

古紙を回収するパッカー車も軽油を燃料としている。昨今の原燃料価格の高騰によって番線やストレッチフィルムなどの副資材も値上げされた。古紙問屋の収益は確実に圧迫されており、以前は古紙インフラを維持するために必要と言われた国内基準価格(18円)では回収コストが合わなくなってきている。 仕入れ価格高騰を招くとしてタブー視されてきた基準価格見直しを希望する声も聞こえ始めている。

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