■ 世界の段原紙増産情報
2020年10月30日
ストラエンソ社はフィンランド・オウル地方にある上質コート紙マシン(7号機)を9月末で停機した。同工場の6号機も9月初旬に停機している。2台の年間総生産量は100万㌧で、7号機は20年年末までにクラフトライナー(KLB)マシンに改造する予定だ。さらにヒルテブルーク工場の3号機(新聞、DIP設備)も2021年までに停機するとアナウンスしている。同工場の新聞マシンは2機で総生産量は48万㌧で4号機は稼働を継続する。停機する3号機の生産能力は23.5万㌧で同社の生産能力は26%減少する事となる。これはヨーロッパ全体の新聞生産量の4%に相当する。
同じくフィンランドのUPM社はKaipola工場を12月までに閉鎖する事を発表した。448人の従業員の内20%は解雇され、残りは他工場に移動となる。同工場の生産能力は年産45万㌧のグラフィックペーパーと27万㌧の中質コート紙。昨今の印刷需要の減退と新型肺炎による長期的な市場の混乱を見越し工場の閉鎖に踏み切った。
トルコではModern Karton社が3号機(テストライナーマシン)に総投資額4~5千万ユーロを投じ白ライナー、コートライナー、中芯、テストライナーの併抄マシンに改造する。抄紙幅は5600m、坪量105-225g/㎡で抄速は1300m/分 2020年の稼働を計画している。同社は1974年設立トルコ・イスタンブールに本店を置くErenホールディングス傘下の企業で段ボール一貫メーカーだ。古紙を使用した段ボール原紙の生産量は年間105万㌧でトルコ最大手となる。
カナダのAtlantic Packaging社が10月15日、同社2機目となる100%古紙ベースの製紙マシンをオンタリオ州の工場に増設する事を発表した。年産40万tの薄物段ボール原紙でライナーと中芯の併抄マシンとなる。稼働は2020年を予定している。
Cascades社はバージニア州にあるベアアイランド工場の新聞マシンをテストライナーマシンに改造する事を発表した。同工場は18年に買収した工場で年間生産能力は46.5万tとなっている。23年年末までの稼働を計画している。コロナ過の印刷・新聞需要の減少で各社工場の閉鎖・停機が相次ぐ一方で、段ボールマシンへの転抄や新設・増産は続いている。
中国では玖龍社が遼寧省の工場で60万tのパルプラインの建設計画を発表した。2022年の稼働を目指し、30万tのSCPと30万tのBCTMPマシンを増設する。同工場では’19年に42号機ライナーマシンが稼働を開始しており、板紙生産量は95万㌧に増強されている。SCPは同工場の強化芯マシンへオンラインで供給され、BCTMPは国内の同社工場に於いて板紙の中層として使用される予定だ。また、6月のレポートでも記載したが同社は湖北工場においても75万tのパルプ(SCP/BCTMP)増設を発表している。21年の古紙輸入禁止に向けパルプベースの強化芯等の生産設備とその原料設備の増強が相次いで発表されている。