インドネシア石炭輸出禁止 市場価格に影響懸念

  ■ インドネシア石炭輸出禁止 市場価格に影響懸念

2022年1月2日

インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は1日、石炭の輸出を1カ月間禁止すると発表した。 国内の石炭火力発電所向けの石炭の需給がひっ迫した事を上、電力確保のため、発電所への供給を優先させる。 

インドネシアは発電の6割を石炭火力に依存しているが、世界的な電力用石炭の需要拡大を受けて、国内への供給量が不足している。 昨年8月に、年間生産量の25%を電力企業などに回す国内供給義務を満たしていないとして石炭事業者34社に輸出禁止措置を科したが、今回需給のひっ迫を受け全事業者に一か月の禁輸措置を課す。 インドネシア政府は今夏の禁輸措置の理由を「輸出禁止を実施しない場合、1万850メガワットの電力を供給する20の発電所が危機に陥り、国家経済の安定を乱す」と説明している。

石炭の産出量は中国が1位で39億㌧、2位はインドだが、その殆どを国内消費に充てている。石炭輸出量が最も多いのは自国消費量が少ないインドネシアで年間4.9億トンを輸出。輸出量2位はオーストラリアの3.9億㌧。 インドネシア産石炭の輸出先は中国が3割を占め、インド向けが24%。日本、韓国、台湾などにも輸出する。 日本は世界第三位の石炭消費国だが、オーストラリアからの輸入が最も多く、インドネシアからも約1300万㌧(11.4%)を輸入する。今後の輸出先国の石炭調達や市場価格への影響が懸念される。

石炭不足に苦戦する中国を含め世界規模で原燃料価格の上昇で製紙企業の収益が圧迫されつつある。 11月に中国の各製紙企業は原燃料価格の高騰から段原紙の大幅値上げを発表し、電力操短も実施した。イタリアに於いても石炭価格を背景に古紙の買い付け価格を引き下げるなど市場に大きな影響を及ぼした。

今回のインドネシア禁輸措置が紙パルプ市場に与える影響は無視できない。

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