■ インド首都デリーにて都市封鎖再開 米国古紙価格軟化
2021年4月17日
インド政府は新型コロナウイルス感染者数が爆発的に増加していることを受け、首都ニューデリーに於いて週末の外出禁止措置を取ることを発表した。
商業施設やジム、飲食店などは閉鎖となり、一部の必要不可欠なサービスのみ営業が許可される。今月から始まるヒンズー教の宗教行事「クンブ・メーラ」で多くの人出が見込まれることから、感染拡大の恐れを警告している。
インド保健省が公表したデータによると、同国の1日当たりの新型コロナ感染者が20万739人と過去最高を記録。死者は1038人だった。インドンでは昨年4月より全土ロックダウンを実施、夜間外出禁止令を出すなど感染拡大防止策を課している。昨年9月以降感染者数は減少し拡大が抑制されたように思われたが、今年3月以降爆発的に感染が再拡大している。また変異株が変異した二重変異株も確認されており、警戒感が高まっている。
医療関係者らは2020年の感染拡大時よりも致死率が高くなる可能性があると警告している。新型コロナ患者を受け入れている多くの病院が病床と人工呼吸器などの医療装置の深刻な不足を訴える中、金融都市ムンバイもロックダウン(都市封鎖)に入った。
インドの新型コロナ感染者は累計1410万人に達し、世界で最多の米国(3140万人)に次いで2番目に多い。累計死者数は17万3123人となった。
インドは世界有数のワクチン製造拠点であるにもかかわらず、人口比で接種率が低いことも問題視されている。
政府は8月までに人口13億5000万人の2割に当たる3億人に接種する目標を掲げているが、これまでに接種が行われたのは4400万回分に留まっている。
インドの都市封鎖を受け米国古紙価格が10~20㌦前後軟化した。インドは主にUKOCCやAMIXなど比較的安価な低グレード古紙を購入していたが、先日のスエズ運河のコンテナ船座礁事故により欧州古紙の供給に影響が出たていた。一部米国古紙へ切り替えるなどAOCCへの引き合いが強まるのではないかと予想されたが、一変需要は弱まる形になりそうだ。
インドに於いても経済成長と通信販売の拡大により段ボール需要は拡大している。2017年のGST導入以後、国内物流も活発化し段原紙や段ボール工場も多く建設された。 東南アジア同様中国に代わる古紙消費国としてその市場に与える影響も大きくなってきている。
一方で中国の古紙輸入禁止を受け、段原紙及び再生パルプ輸出は2020年に入り急拡大した。都市封鎖により工場の稼働が制限される中輸出が増加、元来古紙不足のインドに於いて国内の物資不足も懸念されている。
その段原紙及び再生パルプ輸出も3月中旬以降中国の在庫過剰と不需要期によって購買が鈍化、インドの古紙購買意欲に影響がでている。旧正月明け急高騰した古紙国際相場も中国原紙価格の軟化により一服感と高値警戒感がある中、インドの都市封鎖によってアジア全体の古紙価格の大幅軟化要因になることが懸念される。