■ インド経済活動の再開とIPMA輸入紙に高関税賦課の要望を提出
2020年7月
インドでは新型肺炎の感染者数が50万人を突破し、1日の感染者数が1万7000人を超えるなど今なお拡大の一途をたどっている。しかし経済再開を優先させる為モディ政権は徐々にその都市封鎖を解除しwithコロナ法による経済再開を模索している。
経済活動が再開されるにあたり、各段ボール・製紙工場は70-85%まで稼働を再開させている。 今後インドでは大型イベントが多数控えており、経済再開への期待と感染拡大への懸念が入り混じる。 7月中旬には「イードムバラク」と言われるイスラム教の断食「ラマダン」明けのお祭りが開催された。8月には「ラクシャ・バンダン」と呼ばれる兄弟姉妹愛を祈願するお祭りと、15日は独立記念日でのパレードもある。 9月にはムンバイで「ガネーシャフェス」も催される予定だ。
一方経済再開に伴い再感染拡大も同時に表面化し始めており、1日の感染者数が1000人程度と感染拡大が比較的収まりつつあったベンガールに於いて13日に2万人を超える感染者が出るなどし、都市封鎖措置が再導入された。
経済再稼働に伴い紙関連企業も稼働を再開、古紙の輸入も開始され始めている。 インドでは近年内需の成長に伴い多くの製紙工場が建設された。古紙の輸入も増加しているが、世界中の安価な原紙や「二級原紙」いわゆる損紙も大量に輸入され、製紙産業の成長を阻害している。
インド製紙協会(IPMA)はインド商務省に対し、輸入紙の関税を現在の10%から25%に引き上げるように書簡を郵送した。
インドでは過去10年間輸入紙が増加傾向にあり毎年平均13%増加している。さらに新型コロナの影響で輸入増加傾向は加速しており、安価な輸入紙が輸入される事によってインド国内の製紙企業の競争力が弱体化する事を懸念している。
‘20年は28.9万tの紙が中国から輸入され、前年度比14%増加、アセアンからは18%増の34.3万t輸入された。 IPMAはFTAを締結している国からの輸入でも紙の輸入を軽減税率の非対称品目とし、輸入禁止とする措置も要求した。また輸入できる港を限定し、輸入紙の輸入動向をモニタリングするなどの案も提出している。
紙需要の拡大と製紙の建設ラッシュが続く同国では古紙の輸入は増加傾向にあり、東南アジアに続く中国代替えの古紙マーケットに成長しつつある。 インド国内での製紙産業の発展を促す為、今年1月より印刷用紙の損紙輸入が禁止されている。 さらに上記輸入紙の増税が採用されれば古紙の需要は加速するだろう。
現時点では工業製品の輸出が東南アジア程活発でない上、米国、日本からは距離があることから海上運賃が非常に高く、地元紙市況価格が非常に安価である事から、EOCC90/10や雑誌など低グレードな古紙を主軸に輸入している。