■ 米国内製紙企業在庫増加 アジア需要も弱く米国古紙価格軟化
2021年11月11日
秋需も終盤に差し掛かったが、欧米では例年の秋需に加え、新型肺炎の流行による強い通販需要で段原紙メーカーは高稼働状態となっている。一方で東南アジアメーカーは7~10月にかけ都市封鎖が実施され、制限解除後もスロースタートとなっており11月に入っても引き合いが弱い事から米国内の古紙サプライヤーは国内の製紙企業向け出荷を増やした。
段原紙出荷状況はよく製紙の稼働もフル生産に近いが、古紙入荷量が増えた事で製紙企業の古紙在庫は過去10カ月も最も増加した。通常秋需で海外に向かう古紙は国内で流通した為に、例年感謝祭(11月中旬)ごろ聞かれる国内製紙企業側からの古紙入荷依頼が今年は無かった様だ。
米国内大手古紙問屋は、「製紙企業は古紙集荷量が減少するクリスマス休暇期間の入荷量も問題ないとみており、特に北米中西部の製紙企業は入荷量を増やす予定はない。夏ごろからつけていたOCCプレミア価格も減額し始めており、一時75㌦前後ついていたプレミアも現在は30~40㌦となっている。
またこのまま古紙の輸出引き合いが弱い状態が続いた場合、来年第二四半期までに国内向け価格は100㌦前後にまで戻るとみている。MIX古紙は35~40㌦になるだろう」と業界紙に語った。
一方で家庭紙原料向けのSOP(Sorted Office Paper)は価格が若干上昇傾向にある。SOPグレードの発生量は商業広告の減少により例年より少なく、機密文書は昨年より増加しているもののパンデミック以前の水準には戻っておらず秋需を前に価格が強含んだ。
またインドでの需要が少しずつ戻りつつあることも影響している。今年の夏は爆発的な感染拡大による都市封鎖で、企業活動や学校、物流が制限された。しかしこの数か月は徐々に制限が解除され、工場も稼働を始めており、印刷用紙向けのONPやSOP、段原紙向けのMIX古紙の需要も徐々に戻りつつあるという。
決して強い需要ではないが、世界的新聞生産量の減少により代替えとしてMIX古紙や、OMGを購入するようになった様だ。
インドの製紙企業もまた原燃料価格の上昇と、コンテナ不足や国内輸送手段の確保に苦戦している。トラック輸送価格は急高騰しさらに需要がひっ迫している。価格だけでなく、輸送手段そのものを確保できず本船が到着しても国内輸送ができないケースが増えているという。インドの製紙企業は鉄道での古紙輸送を検討し始めていると地元メディアで報じられている。