■ ロシア最大手Ilim社 中国系2社と戦略的パートナーシップ契約を締結 近づく中国・ロシアの紙パルプ産業
2022年1月7日
ロシア最大手製紙企業であるIlim社は中国の上海高希望制浆造纸(Shanghai High Hope Pulp and Paper)及び、Ilim社のパルプを使用し自社紙パルプブランドを製造している恒安国际集团(Hengan Group and Mudanjiang Heng Feng Paper,)と戦略的三社協定を締結した。
上海高希望制浆造纸社は10年以上に渡りIlim社のパルプを購入しており、その累計数量は100万㌧に達している。
恒安国际集团は中国中南部に事業を展開しており、Mudanjiang Heng Feng Paper社は北部、黒竜江省にその製造拠点をもつ。恒安国际集团は大手生活用品メーカーで、紙オムツや生理用品など数々の自社ブランドアを展開する。 Mudanjiang Heng Feng Paper社は印刷用紙から化学品、アロマや煙草に段ボールなど多角的な商品を製造している。三社間における長期間パートナーシップ契約は、配送の増加と効率化、生産工程の最適化及び中国市場への製品販売と顧客サービスの向上を目的とする。配送から包装、あらゆる製造工程での連携により環境への配慮や事業の持続的発展、CO2排出削減などの相乗効果も期待できる。
Ilim社はロシアに本店を置く紙パルプ一貫企業で、パルプから段ボール原紙を始め中国市場を狙い事業を拡大させている。中国20以上の地域、500以上の工場において同社の製品は使用されており、2020年の同社製品の中国向け輸出は年間166万㌧(内板紙17万㌧)と過去最高を記録した。またUst-Ilimsk市において年産60万㌧規模のKLBマシンを建設中で2022年に稼働予定としており、中国向けの輸出を240万トンにまで引き上げる計画だ。その他既設マシンの増改築なども行っており同社の生産能力は2024年末までに440万㌧規模となる。
Ilim社中国の代表理事、アジア副社長のAlexander Lykhin氏は「Ilim社は25年以上中国市場で販売を続けており、中国大手紙パルプ企業との戦略的パートナーシップ契約は、ロシア中国間におけるP&P製品の販売拡大に貢献できる」としている。
2021年はパルプ価格の高騰や米国産KLBの入手が困難となった。豊富なパルプ資源が取れるロシアと巨大消費地である中国。隣接する二国間の経済的結びつきが強くなることは必然かもしれない。