■ 北越コーポレーション 家庭紙事業に参入
2021年5月17日
北越コーポレーションは新潟工場に於いて、家庭紙マシンを導入しトイレットペーパーやティッシュペーパー、タオルペーパーなどを生産開始する計画を発表した。
同社は印刷用紙専門メーカーとして営業を続けてきたが、昨今のペーパーレス化を鑑み2020年に段ボール事業に参入している。同じく家庭紙部門も生活必需品として今後も成長の見込める分野であるとし、参入に踏み切った。
生産能力25,000㌧/年で設備投資額約150億円、生産開始時期は2023年12月を予定している。
またプレスリリースにて、長年培ってきた高品質・低コスト・高効率操業の知見と技術を活かし、家庭紙製品の生産・販売を行う。また大量消費地である関東圏に近い新潟工場に生産設備を新設する事で立地も活かされる。本家庭紙製品は、70%以上CO2ゼロ・エネルギーで生産され、これからも社会のカーボンニュートラルの実現に貢献するとしている。
新型肺炎の流行によりペーパーレス化が進んだことで印刷用紙業界はかなり厳しいものとなっている。 同社は段ボール事業参入発表当初から家庭紙事業への参入も設備業者などから情報がでており、総合製紙メーカーを目指すのではないかと噂されていた。
同社の21年3月期の連結経常利益は前の期比37.7%減の97.5億円に落ち込んだが、従来予想の55億円を上回って着地。22年3月期は前期比2.1倍の200億円に急拡大を見込み、2期ぶりに過去最高益を更新する見通しとなった。
直近3ヵ月の実績である1-3月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比2.8倍の80.1億円に急拡大し、売上営業利益率は前年同期の2.8%→7.5%に大幅改善している。
しかし同じく家庭紙業界も、インバウンド需要の減退などコロナ禍の影響を受け厳しい状況だ。段ボールへの転抄決定時も段原紙の値上げが行われ、段ボール原紙メーカーは大きな利益をだしていたが、マシン稼働時には市況が一変していた。前途多難な状況が続くが、家庭紙ブランドを持たない同社の家庭紙事業参入は、同社の収益改善につながるか注目が集まる。