■ 北越コーポレーション段ボール事業参入
2019年6月30日
5月28日 北越コーポレーション(北越紀州製紙)は新潟工場において段ボール原紙(中芯)事業に参入することを発表した。
対象となる6号機は現在(5~6月)王子春日井工場の火事を受け微塗工マシンのOEMを請け負っているが、昨年11月8日に印刷用紙需要に対応し国内需給バランスの適正化を目的として停機が発表されていた。
同機はマシン幅5890mm、抄紙幅5150mm、一層抄き、オントップ多筒式の微塗工マシンで坪量108~51g/㎡、日産410tの生産能力がある。 今回20億円の改装費用を投資し中芯マシンへと転抄するが、投資額と抄き始め予定時期から鑑みて、できる限り既存の設備を利用したものになると思われる。
印刷用紙メーカーが故に主原料となる古紙の買い付け、未経験の段ボール原紙の製造、また原紙の販売網の確立がうまくいくのか課題も多く予想されるが、段ボール原紙メーカーが無かった新潟地区での製品販売に大きな影響がでることは間違いない。
北越コーポ―レーションの2019年3月期決算は売上2,758憶円、利益101憶円、前年度比-11.2%(13憶円)の減収となっている。 原紙価格の改定により販売価格を改善したが、一方で年々縮小する印刷用紙の需要と原料価格の高騰が足を引っ張った。 2020年の事業収益予測では製品価格の改定と、原料価格の高騰が一服した事、海外事業の環境改善を理由に過去最高益を予測している。
印刷用紙需要が減少する中で、各包装資材板紙メーカーの本年度決算は段ボール原紙価格の値上げと、古紙価格が下がった影響により今年は大幅な収益改善がほぼ確定しており、北越社はセルロースファイバーや紙ストロー等のプラ包材代替え需要に加え、堅調な包装資材への参入を戦略的事業の一つとして計画している。
北越社のみならずその他板紙メーカー各社も供給がタイトな増産を発表している。 通販ビジネスの成長により年間1~2%ほどの成長が続いた事、原紙の輸出が好調だった事により昨年は原紙の供給がタイトとなり、一時欠寸が発生する等供給面に不安定さがあった。
今後レンゴーグループである丸三製紙がライナー5万t/年、日本製紙大竹工場は3万tの中芯を増産する。又、大王製紙三島工場のN7マシンを板紙に転抄(69万t/年)、王子製紙苫小牧工場も新聞用紙マシンを板紙に転抄(30万t/年)する計画を発表している。
すべて稼働を開始すれば上記北越分と合わせて87万tの増産となる。 しかし段ボール原紙の需要も中期的には人口減から消費量の低下が予想され、オリンピック後も今まで通り堅調な成長を続けるとは一概に言えず、旧式マシンのスクラップを含め生産調整もあるのではないだろうか。