■ 世界中で段ボール需要が拡大 UKP価格も高騰、原紙価格は強含む
2021年2月25日
コンテナ不足により古紙価格が上昇した事でアジアの段原紙価格も値上がりしたが、年明けからパルプ価格が高騰した事によりさらに値上基調となっている。
原紙輸出に掛かる海上運賃も値上がりしている為、各国の製紙企業が数か月連続の値上げを打ち出している状況だ。昨年6~8月頃300~330㌦付近まで下落した中芯価格(地域によって200㌦後半もあった)も年明けに400㌦に乗せ、現在は440~470㌦付近でのオファーとなった。
中国に於いても今年から古紙は輸入禁止となり、国内古紙を100%使用し原紙を生産しなければならない。 国際相場より高い国内古紙と今回のパルプ値上がりにより中国製紙企業各社は旧正月明け200-350RMB(35-60㌦前後)の値上げを打ち出し、段ボールケース価格も5~8%値上げがアナウンスされている。
また世界各国の段ボール需要は好調だ。欧米でも通販需要が拡大し段ボールはタイトな状況になっている。
台湾に於いても欧米国内で製造活動が停滞している事により、日用品や電子部品の輸出が増え輸出商品向けの包装資材が好調となっている。段ボール工場は3直24時間稼働しているが、納期は7日~10日前後と需要過多状態だ。さらに中国からの原紙引き合いも強く、台湾は通常段原紙生産能力の3割近くを輸出しているが、それ以上の引き合いが来ており旧正月明けも需給のタイト感は続くものと見られる。
欧州でも製紙企業の強気な価格姿勢が続いている。SCA社は2月1日より、白板及びKLBの価格を50€/㌧値上した。 また漂白針葉樹パルプ(NBSK)のリストプライスも1月から960ドルに修正している。
年間70万㌧の白ライナーを生産するドイツのLeipa社も2月から白ライナー価格を50€/㌧値上げ、欧州第二位の大手RDM社も欧州向け50€、英国向けを50£値上げした。
英国でも通販の需要は伸びており、人々は鉢植えから自転車まで通信販売で買うようになった。英国は多くの段ボール原紙をドイツとオランダから輸入している。しかし両国に於いても内需が拡大しており輸入量が減少した為、段ボールが不足している。
一部の赤ワインや玩具小売業者は段ボール不足を原因に配送が1~2週間遅れるとしており、子供の誕生日プレゼントが間に合わないと店頭まで買い物に出向き、袋に詰めて持ち帰る人も出てきている。また業者は自社の専用段ボールを使用する事を諦め、空き箱があれば何でも利用している。
米国のSonico社も米国とカナダに置いて非塗工再生ボード(URB)を50㌦、WestRockとGP社も3月にKLBを60~70㌦の値上げを発表し世界中で包装資材の値上がりが続いている。いずれも物流コストの増大と、需要の増加を理由としている。