■ 世界的古紙価格は最低水準。回収コスト割れも日本の古紙は品質面から優位に
2019年6月30日
当社ベトナム工場の資材調達も昨月までは中国向けに輸出ができず安価で安売りされたEOCCを主軸に計画していたが、やはりCIF VIETNAM $110を切ったあたりからヨーロッパの古紙価格の下落スピードが鈍化し始めた。
古紙の回収コストと販売価格が合わず、これ以上下落すれば回収を止めると言い出している様子だ。 当社の購入しているEOCCはイタリア品がメインで、一般的にイタリアの古紙回収コストは$20~30前後(逆有償回収含む平均回収コスト)でフレートは$50~60/t という。 すでに赤字輸出もあり、CIF 80~90ドルは平均回収コストを鑑みても底値に近い状態とみていいだろう。
同工場資材部はEOCCの供給が鈍化した背景と、同じ価格帯であればきちんと分別されたJOCCを購入したいとの話もあり、日本古紙の購入打診をしてきた。 今のところ置き場がなく古紙回収が完全に確立している日本品は$110ドル付近まで下落しても出荷を続けているが、上記欧州の事情から更なる価格競争の天秤に諸国の古紙サプライヤーが乗ってくる可能性は低く、需給のバランスが取れ底値も近いのではないだろうか。
さらなる価格下落懸念材料としては商売の継続と販売先確保の為に独立系商社やブローカーによる先決め投げ売りと、先に述べた様な問屋の直貿による在庫処分が突発的に発生しうる事だろう。
今年も米中貿易戦争が悪化しなければ少なからず秋需はあると思われ、秋口には横ばいあるいは若干なり価格の回復もあると予想する。
しかし昨年のようなOCC¥30円を超す様な暴騰はなく古紙の需給とインフラ維持の釣り合う部分でCIF 100~130レンジ(CY10~12)で落ち着くのではないだろうか。