来年初旬~マレーシアで中華系製紙工場続々稼働 近隣諸国の原料調達に影響懸念

  ■ 来年初旬~マレーシアで中華系製紙工場続々稼働 近隣諸国の原料調達に影響懸念

2022年12月5日

2023年はマレーシアに於いて、中華系製紙工場が続々と稼働を開始する。依然として中国の段原紙需要は薄いものの、マレーシアで建設中である工場のタイムスケジュールはまったなしで進められている。 

21年に米IP社を超え生産量世界1位となったナインドラゴン(玖龍社)は、マレーシアセランゴール州に於いて、60万㌧のKライナー、及び30万㌧の中芯マシンを来年初旬に稼働予定としている。 また、パハン州ベントンに於いて買収したコートボール工場では転抄により60万㌧の再生パルプラインが稼働する。 マレーシアに於いて、新マシンを稼働させる予定としているのは、玖龍紙業だけではない。理文紙業はバンティング地域に2020年第一四半期に年産40万㌧の古紙パルプ製造ラインを稼働させている。約2億9000万香港ドルを投じ39ヘクタールの土地を買収し、PM23は2020年11月に稼働を開始。今年年末には年産25万㌧の中芯マシンを稼働する予定で、2018年に発表された計画にある4機120万㌧の内3機95万㌧が稼働を開始した事となる。 景興紙業は稼働の遅れていた年産80万㌧の再生パルプラインを本年末までには稼働させる予定としている。同工場は地元企業であるGolden Lion Groupと合弁で最終的には140万㌧の紙パルプ工場となる予定だ。Golden Lion Groupの所有する工業団地に689.60畝(1畝=6.667㌃)を購入し、2機の古紙パルプライン及びライナーライン1機を建設する計画となっている。

中国の古紙輸入禁止に伴い計画されたマレーシアにおける段原紙や再生パルプの増産は今年年末から来年にかけて順次稼働を開始する。 玖龍社は2025年までにマレーシア国内の生産量を年間200万トン規模にまで拡大する計画を発表しており、原料はEOCC及びAOCCとアジア近隣諸国から輸入するとしている。 日本からのマレーシア向けOCC輸出は海上運賃や船積み前検査などの兼ね合いから殆ど輸出されていない。しかし、マレーシアに於いてこれら新マシンがAOCCやEOCCを高値で独占的に購入する様になれば、日本の古紙価格にも影響が出る可能性が高い。

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