■ インドネシア・ジャカルタで洪水1300人以上避難 温暖化による降水量増加とゴミ問題も影響
2021年 2月25日
インドネシアの首都ジャカルタは19日からの豪雨で洪水が発生し、1メートルから3メートル弱の深さで冠水したところもあり、少年少女4人を含む5人が死亡し1300人以上が避難した。
洪水はジャカルタ一帯の200地区が水没し、40地区で未だ水が引いていないという。21日には、浸水した家の清掃に戻る住民の姿が見られた。気象当局は今後も豪雨が予想されているとして注意を呼び掛けている。
インドネシアでは例年大洪水が発生し大きな被害が発生している。原因としては近年の地球温暖化の影響により降水量が増加していること、都市部の路面がアスファルト化し雨水が浸透しづらくなったことに加え、生活用水の過剰な汲み上げによって地盤沈下も発生している。ジャカルタの地盤沈下は平均で12cmに達しており、ひどい所は30cmを超えているという。
また増え続けるごみ問題も大きな要因だ。人々の生活の質の向上によりごみの発生量が増加している一方、ごみの回収などインフラ整備が遅れている。川にソファーやバイクを捨てる人もいるため、街中に散乱したゴミが雨水で流れ排水溝を詰まらせてしまう事が洪水の原因となっている。
インドネシアは中国、アメリカ、インドに次ぎ世界第4位となる2.6億人の人口を抱え、経済成長率も5.5%と急速に発展を遂げている。
年間6,500万トンもの固形廃棄物が排出されており、そのうち約7割がそのまま埋め立てられている。
日本のように定期的に地域を回ってごみを収集する仕組みはなく、勝手に廃品回収業者がごみをささって必要なものだけ抜き取っていく。ごみは分別されておらず雑多なゴミが散乱する。
リサイクルやコンポスト(たい肥化)されるゴミはわずか7%しかなく、残りの24%は違法に焼却・廃棄されているのが現状だ。ゴミの8割以上は分別されておらず、せっかく分別された残り2割のうち半分も、輸送の過程でミックスされてしまう。
今回の洪水でも大量のごみが排水溝や橋に滞留し、今回の洪水でも東ジャカルタのカンプン・メラユ橋から200平方メートルのゴミが運ばれた。
インドネシア政府は古紙をはじめ固形廃棄物原料の輸入を規制した。海外からのごみの流入を防ぐ目的があるが、国内のインフラ整備は進んでいない。
政府は自動車のEV化に大きな予算を付ける事を決定したが、ごみ回収に予算が割り当てられない事に市民の不満がたまっている。