■ アジア古紙相場大幅下落 欧州古紙軟化が波及
2022年7月17日
アジアの古紙相場が急落した。6月中旬以降、欧州の景気減退に伴いイギリス、ドイツなどで相次いで製紙の休転が発表され需給が緩んだ事が発端となった。欧州ではウクライナ戦争勃発後、原燃料価格の急騰から3か月連続で原紙価格の値上げが発表され、欧州の消費者物価指数も30~100%近く上昇した。急激な物価上昇に伴い、欧州消費が急速に減退しており、7月はウクライナ戦争後初めて原紙の値下げがアナウンスされている。
欧州古紙サプライヤーは欧州内古紙需要が減退した事を受け輸出オファーを強めたが、インドでも中国向け原紙輸出引き合いが減退した事で需給が緩んでいる。インドバイヤーからは古紙の船積みを遅らせる様要求がでている上に、価格の高い契約残のキャンセルも発生した。行き場を失ったインド向け洋上古紙が東南アジアへ転売オファーがかかった事で価格の軟化が東南アジアに飛び火した状態だ。
しかし東南アジア各国に於いてもやはり中国向け原紙オファーの減退や、新規稼働したマシンの販売攻勢など原紙需給は緩く、ローカル回収古紙も輸入古紙より安価であったため、欧州サプライヤーは販売に苦戦している。 日に日に古紙相場は崩れており、現在の欧州古紙価格は220~235㌦で、200㌦以下の要求もでている。 欧州古紙の大幅軟化に伴い、割高であった日本古紙への引き合いは極端に弱まり、欧州古紙に引きずられる形で価格が軟化している。また、日本段古紙の4割近い向け先であった台湾が、大手製紙企業の倉庫荷崩れ事故をきっかけに古紙の購買をとめてしまったことも価格の軟化に拍車をかけた。
現在の日本古紙の相場はCIF TAIWAN 220~235㌦、CIF VIETNAM 230~245で価格はさらに軟化している。価格の問題ではなく、契約自体が取れない状況に陥っている。
8月の輸出相場はCY24~26、古紙問屋店頭で22~24円までと6月末から4~6円以上下落しそうだ。輸出の間口が狭まっている為、スポットベースではそれ以上に軟化するリスクは十分にありうる。