■ 古紙輸出市況(中国米国古紙に25%の関税を課税)
2018年8月27日
8月3日中国国務院(内閣)関税委員会は(2018)第6号「米国からの一部輸入製品に関する報復関税措置」において殆どの紙及び紙製品に5-25%(5%木材パルプ、包装紙、特殊紙、紙製:20%家庭用紙、特殊紙、文化紙および紙製品:25%新聞用紙、文化紙、段ボール紙、厚紙紙、紙製品)の関税を課すことを発表した。施行時期については未定。
さらに8月8日、米国からの500憶ドル相当の貨物に対し追加の報復関税を課すことを決定した。追加課税の対象には古紙も含まれ総額160憶ドルもの輸入に対し8月23日12時1分より25%の関税が課されることとなった。 その他の詳細は税務員会発表の(2018)第5号規則に従い実施されるもとなる。 HSCODEの4707100(段ボール)、4707200(雑誌)、4707300(新聞)、4707900(その他古紙)すべての古紙がリストに含まれており報復関税の対象となる。
2018年1月~6月の香港に対するCIF平均価格は 9#(OINP)276ドル/t、12#(DSOCC)約247ドル/t、37#(SOP)で約303 ドル/tとなっている。25%の関税を追加されれば、60-70ドル/t増加することを意味しており、米国古紙の価格は300ドル/t以上に上昇する。中国国内のAグレード段ボール古紙の平均価格は約2,624 RMB/t(USD385/t)であり、新聞は約2,837RMB/t(USD417/t)であった。 米国古紙に25%の関税を課し通関費や輸送費用を入れるとAONPやAOCCの価格は中国国内の価格とほぼ同等となってしまい輸入のメリットがなくなってしまう。
米国では中国古紙バイヤーの影響力が強く、需給を考慮すると米国の古紙サプライヤーは価格を切り下げ中国国内古紙価格を下回る様調整を余技なくされると思われる。しかし、米国品への25%の関税分の値下げ圧力は出荷の見合わせや、8月23日以降の到着貨物が他国へ転売される可能性がある。
関税分の値下げを要求し、中国の製紙工場が増税の費用を全額負担する可能性は低いとはいえ、米国CCICの検査の遅れ、品質リスク問題も相まって、今回の関税措置により米国以外のエリアからの調達を加速させるだろう。 中国税関の統計によると、2017年は米国からの古紙輸入が全体の約45.5%を占め、古紙輸入の大きなウエイトを占める。
米国品の課税は、ヨーロッパとその他のエリアからの輸入価格の上昇を招き、2020年の古紙輸入禁止を待たずして、製紙メーカーの古紙調達費用が大幅に上昇すると思われる。
中国の古紙輸入は規制の一途をたどり関税も相まって今後調達が困難になることが確実となっている。 しかし製紙企業の設備投資はあまりにも大きくすぐに国外へ移設というわけにはいかない。
未だ古紙の調達は不可欠で短期的には他国からの調達、特に日本品、ヨーロッパ品の高値維持が予想される。中期的には原紙の輸入、第三国での古紙パルプの製造ライン建設への設備投資が加速するのではないだろうか。