インド爆発的感染拡大 医療崩壊に死者増加 火葬場足りず野焼きも

  ■ インド爆発的感染拡大 医療崩壊に死者増加 火葬場足りず野焼きも

2021年5月4日

インドでは、3月中旬から「世界最大の宗教行事」といわれるヒンドゥー教の行事「クンブメーラ」が行われた。

「クンブメーラ」とは「水がめの祭り」という意味で、4つの街で3年ごとに開催されている。延べ1億人の巡礼者がガンジス川などで沐浴をし、8週間に渡り行われる。ガンジス川沿いには早朝からサドゥーと呼ばれる聖者や大勢の人々が集まり、川の水に頭までつかるなど、もく浴し、祈りをささげるなどした。

この行事が執り行われた3月中旬以降、インドでは新型肺炎の流行が爆発的に再拡大し、この宗教行事が原因ではないかと言われている。

4月下旬より都市封鎖を再開したが、感染の拡大は続いており、5月初旬には、1日の新規感染者は35万7229人、累計感染者が2000万人を超えた。死者は3449人増加して22万2408人となった。医療崩壊と酸素ボンベが不足し、死者が続出。火葬が追い付かないため死体の野焼きが行われている。

野党からは全土のロックダウン(都市封鎖)を求める声が上がっているが、モディ政権は経済への打撃を巡る懸念から全土のロックダウンに消極的だ。

インドで新型コロナウイルスの感染再拡大による地域単位でのロックダウン(都市封鎖)が6月まで続いた場合、経済損失は384億米ドル(4兆1,986億円)に達する可能性がある。

インドの製紙工場(特に感染の拡大が進んでいる都市部)では、労働者が肺炎に感染し労働者不足が深刻化している。さらに地方からの出稼ぎ労働者も都市封鎖が再開される事が発表され地元に帰省するなどしている。帰省した労働者が田舎へ肺炎を持ち帰りさらに感染が拡大する事が懸念されている。

また物流が寸断された事によって原料の調達も難しい。今年に入り中国が古紙を輸入禁止にした事により、再生パルプや段原紙の引き合いが強まり、インドでは慢性的に国内向けの段原紙やその原料が不足していた。 3月下旬以降は中国国内の段原紙在庫過多により、再生パルプ引き合いは弱まっていたが、都市封鎖再開によって欧米のMIX古紙を中心に価格が下落した。

日系自動車メーカーのスズキも、部品の調達が難しくなった事や、医療用の酸素が不足し、工業用の酸素を医療用に回す措置が取られ溶接ができなくなったとして、1日から9日まで、インドにある工場でのすべての生産を停止することを決定している。

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