■ 新型肺炎により加速する通販市場の拡大
2021年3月19日
世界の市場調査会社であるSmithersPIRAのレポートによると、20年の世界の包装需要は6%減少し、輸送及び製造、パーソナルケア商品が最も影響を受けたという。 一方でeコマースは売上ベースで42%増加し、その包装需要も14.9%増加した。
特に食料品、スポーツ用品、化粧品の通信販売成長が著しい。20年以前はこれらの商品の販売は通販市場全体10%以下に留まっていた。しかし、家庭料理用の食品パッケージ商品や、アルコール品の販売が急激に伸びており、新型肺炎の終息後もこれらの顧客は通信販売市場で購入を続けると期待されている。 段ボールは通信販売の包装消費の中で80.5%のシェアを占める。特に食品やアルコールの販売が増える事で、段ボールのシェアは82%まで伸びると予測されている。
国際段ボール協会(ICCA)の発表によるとベトナムに於ける19年の段ボールの出荷数量は21憶3,000㎡で前年度比8.12%増加した。昨年の第3四半期の出荷数量は新型肺炎の影響で世界の需要が0.5%減少する中、前年同期比3.87%成長している。正隆紙業はさらにベトナム南部のBenCat県に第四紙器工場を建設予定で、ベトナム北部にも進出予定だ。
また中国研究所中国研究所によると、中国国内の段ボール消費量は2014年の791億㎡から2019年に814億㎡とな毎年平均2.9%増加した。段ボール市場は今後も年平均3%成長し2024年には949億㎡に達すると予想されている。段ボール市場お売り上げは2014年以来平均5.7%成長し、2019年には2,180億人民元に達している。2024年には2,745億人民元に達し、年平均4.3%の成長を見込んでいる。
アイルランドのダブリンに拠点を置くSmurfit Kappa社は、英国ノースウェールズのモールドビジネスパークにあるモウルド・段ボール工場に4000万€投資し拡張工事を行う。最先端の設備を導入し製造能力を拡大し、英国最大級の包装工場となる。また設備の拡張に加え3エーカーの自然歩道や街路樹を植え1トンあたりのCO2排出量を15%削減する。 同社は、製紙は段原紙からクラフト紙まで手掛け、世界33カ国に従業員約45,000人を雇用する大手段ボール一貫メーカー。
ドイツの一貫メーカーである Progroup AG社はポーランドのストリクフ工場に7200万€を投じ、新しくコルゲーターを導入する。マシン幅3.35m幅、毎分400mで2022年第四四半期の稼働を目指す。同工場の年間生産平米は8億2,500万m²となり世界最大級の段ボール工場となる。
また英国のDsSmith社はイタリアとポーランドにある段ボール工場に1億£(1億3900万㌦)を投資し製造能力の拡大を行う事を発表した。米国のAcme Corrugated社もペンシルベニア州にある段ボール工場を拡張工事を行う事を発表した。現在の25万feet(2万3000㎡)敷地面積を8万feet広げ製造能力を50%拡張し2年第一四半期の稼働を目指す。
また中国最大手のラインドラゴン社も今後段ボール製造分野に於いても進出を進めるとしており、21年末までに12億1000万㎡の増産を計画している。生産能力を垂直化させ、顧客への一貫サービス提供を進めるとしている。