■ 輸入禁止後も古紙相場に影響を与える中国市場
2022年1月26日
中国が古紙を輸入していた頃は、中国が世界の古紙価格を決めているといっても過言ではないほどの影響力があった。21年以降中国は全面的に古紙の輸入を禁止しており、日本の古紙は東南アジアが主な古紙販売先となっている。
21年は韓国や台湾、ベトナム、インドネシア向け価格がそれぞれの地政学事情や需給によって日本の古紙を取り合い、時期によってどの国が高値を付けるかが流動的な一年だったように思う。しかしアジアの製紙企業の多くは中国向けに段原紙を輸出しており、年間400万㌧以上がアセアンから中国に供給されているのも事実だ。
アセアン内での段原紙流通も最終的には中国や先進国向けの梱包材として使用されている。つまりアジアの古紙・段原紙の価格や需給は国内の経済要因よりも、外的経済要因が市況を動かしているといえる。アジアは中国に代わる古紙消費地に成長したが、東南アジアの製紙企業が世界の古紙価格を決めているとは一概には言えないのではないだろうか。
下の図は中国の段原紙価格推移(東莞玖龍社Bライナー)とJOCCの輸出価格推移を比較したものだが、日本の段古紙輸出価格と中国の段原紙価格は高い相関関係があることがわかる。 古紙を主原料としているBライナーは中国国内でアジアからの輸入紙と競合する為、アジアの段原紙価格と中国のBライナーの価格推移も近い変動図となる。
つまり中国の段原紙市場がアジアの段原紙需給と価格に影響を与え、その段原紙価格が東南アジアメーカーの古紙調達価格を左右するという構図が見えてくる。中国が古紙を輸入禁止とした21年以降も、中国市場は間接的ではあるがアジアの古紙相場に大きな影響を与え続けている。
中国段原紙価格、JOCC輸出価格推移