■ 欧州独占禁止委員会 大手パルプ企業に家宅捜索
欧州独占禁止当局は10月12日、フィンランドのMetsä Fibre社、Stora Enso社 UPM社を含む植林パルプ事業者に対し、立ち入り捜査を実施した。 検査を受けたパルプ企業はそれぞれ世界のパルプ市場の約4%を占める大手企業となっている。
欧州委員会及び消費者庁は木材パルプ生産者が、談合や特定のビジネス行為を規制する独占禁止法に抵触していなか抜き打ち検査を行ったと発表した。 同局はあくまで反競争的商行為の疑いに対する予備的検査であり、調査対象の企業が有罪であることを意味しないことを強調している。
また、その結果を事前に判断するものではなく独占禁止法訴訟にのっとり、特に検査対象企業の意見を述べる権利を完全に尊重するとしている。
しかし、異常な価格の上昇を含め疑われるべき事情はあるとし、違法行為の証拠となる電子メール、会議メモ、内部メモなどの価格協力の犯罪的証拠がないかを調査し、家宅捜索は複数日に渡り行われた。この調査に関する調査期間の制限はなく、慎重に審査が進められるものと思われる。
調査を受けたストラエンソ社は当局の調査に全面的に協力するとコメントしている。
欧州連合が開始した今回の大手パルプ企業に対する調査は、世界的なインフレ危機に対応するもので、石炭や天然ガスなどの様なコモディティ価格の暴走を阻止し、物価上昇を抑制することを目的としていると一部メディアは報じている。 今後パルプ価格の上昇に歯止めがかかる事が予想される。
欧州は今年6月米国アップル社に対しても、アプリ内課金に対する手数料などに関し独占禁止法の疑いがあるとして調査を開始している。またface Bookに対してもネット広告の市場でEU競争法に違反している疑いがあるとして調査をした。
EU競争法は非常に厳格で摘発事例も多く、制裁金も非常に大きくなることが多い。