■ 都市封鎖により欧州古紙回収減
2020年4月
新型肺炎の流行によって古紙・段ボール原紙の流通に大きな影響がでている。
イギリスでは3月23日外出禁止令が出され、違反者には罰則が科されることとなった。都市封鎖と選別による感染を防ぐため、リサイクル回収を中止する自治体が増えているが、同国ではもとより中国の環境規制によって古紙の輸出価格が下落、古紙問屋の経営を悪化させ撤退、倒産が相次ぎ回収量が減っていた。
巣ごもり需要による段ボールの消費は主に宅配便で、市中で回収される古紙は増加する一方、産業古紙は工場の停止により減少。(現地の市中回収は日本の様に分別回収ではないので機械的、あるいは人の手を介して選別が必要)市中回収古紙の殆どは選別されずそのまま埋め立てや焼却に回っている。
都市封鎖による古紙回収量減少とコンテナ不足に起因する海上運賃の上昇は古紙輸出量を大きく減少させた。 イギリスは古紙輸出国であると同時に、原紙輸入国だが、EUの他国に於いても原紙が製造できず輸入が滞っており、段ボール箱が不足しつつあると現地メディアは報じている。
ドイツでも都市封鎖による分別回収の停止、古紙の輸入元であるポーランドとの国境を封鎖したため古紙が不足、イギリスやフランスへ古紙購入の引き合いを出しているが各国古紙の回収が機能しておらず思うように古紙が集まらない様だ。 スーパーや飲食店、街角の小売店が閉店している為、店舗からの古紙発生は大きく減少し市中回収古紙の比率が増えた事による回収コスト増も問題化しているという。 同国に於いても食料や医療品など必要物資を運搬するための段ボールが不足しつつあることに懸念が広がっている。
古紙輸出国であったイタリアに於いても古紙回収ができず、東南アジア向けの輸出をキャンセルあるいは船積みを遅らせている。 本来回収量の2割~5割を輸出していた古紙問屋も回収自体が昨年の5割ほどになっており、輸出する余力がない。イタリア国内の古紙流通価格は200㌦を超えており、海上運賃が値上がりしコストアップした輸出を敬遠している。