■ EU欧州委員会 廃棄物原料輸出規制の改定案を提案
2021年11月21日
欧州委員会は17日、EUからの廃棄物輸出に関する規制の改定案を発表した。改定案によると非OECD加盟国向けに廃棄物を輸出する事が規制され、輸出相手国がその廃棄物の輸入を希望し、継続的に運用する能力を有する場合にのみ許可される事となる。 廃棄物を輸出しようとする企業は、仕向け先の施設が適切に処理する能力を有し、継続可能な処理がされている事を第三者機関を通じて確認しなければならない。
また、OECD加盟国向けの輸出であっても、その廃棄物の出荷は最終処分されるまで追跡され、仕向け国側で深刻な環境汚染が発生した場合は輸出が停止される事がある。
欧州からは現在多くの廃棄物原料がリサイクル目的で輸出されているが、違法な廃棄物の輸出と輸送を撲滅する事と、EU内でのリサイクルを促進する事を目的としてこの法案が提案された。またバーゼル法の概念では、廃棄物は発生国内で処理されるべきであり欧州がその第一人者であるべきだという考えが含まれている。
改定案では、廃棄物を管理する書類は完全にデジタル化されることも盛り込まれており、簡単に追跡が可能となる。EU内の廃棄物に関する分類規格の統一と、廃棄物運送に係る規定の厳格化と手続きの簡素化(迅速化)が行われ、さらに違法な輸出の厳罰化が検討されている。
一方で欧州リサイクル連盟(EuRIC)は、この改定案に懸念を示している。EuRICの事務局長であるEmmanuelKatrakis氏は欧州委員会の提案する廃棄物原料の輸出規制は自由貿易の概念に反する。 現在の規定では、廃棄物の輸出とリサイクル目的の輸出を明確に区別する事ができない。厳格すぎる規制は欧州のリサイクル業者に重大な影響を及ぼし、欧州のリサイクル事業者の雇用を弱体化させる可能性がある。 また廃棄物をリサイクルするために必要なコストを回収業者も負担せねばならず、そのコストは海外で回収された廃棄物原料コストを上回る。国内の廃棄物回収業者の競争力をなくし、不法投棄などの問題を引き起こす可能性もある。とコメントした。
*OECD(経済協力開発機構)とはヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関。インドやエジプト、ロシア及び中国などは非加盟となっている。