ロシアへの経済制裁 SWIFTから除外 日本への影響は

  ■ ロシアへの経済制裁 SWIFTから除外 日本への影響は

2022年2月27日

ロシアのウクライナへの侵攻に対する制裁措置として、米国、英国、欧州、カナダは26日、ロシアの一部銀行を国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意した。SWIFTは、約200か国・地域の金融機関に国際送金のネットワークを提供しており、排除によって、ロシアは輸出している原油や天然ガスの代金の回収など他国との決済が難しくなり、輸出入を効果的に止めることになる。

2021年の日本におけるロシアからの輸入額は1兆5431億円、輸出額は8,624億円だった。 貿易額全体に占める割合は2%弱だが、液化天然ガス(LNG)や石炭などのエネルギー資源、自動車の排ガス装置に使用するパラジウムなどはロシアへの依存度が高く、制裁措置に伴う影響が懸念される。

天然ガスの輸入量が多い国はドイツ、日本、中国となっており、特にドイツは天然ガスが全エネルギーの27%を占め、輸入先はロシアが55%とロシアへの依存度は非常に高い。ドイツ政府は「脱炭素・再エネ政策」の推進のため今後8年間で、天然ガス需要の割合を30%まで高めるとしてきた。ロシアから直接つながるパイプラインを建設し稼働寸前のところまで来ていたため、経済への影響を懸念しロシアへの経済措置や紛争介入には後ろ向きな姿勢をみせていた。 21年の日本におけるロシアからの天然ガス輸入は650万㌧で、輸入量全体に占める割合は9%。そのほか石炭の11%、原油の6%をロシアから輸入している。

またロシアはレアメタルの生産が盛んで白金族の一つ、パラジウムの世界シェア(市場占有率)は4割を超える。日本はパラジウム輸入量全体の約35%をロシアから輸入している。プラチナやコバルトのシェアも高い。 パラジウムは触媒としてガソリン自動車の排ガス浄化装置に利用され、プラチナはハードディスク、コバルトは電池の部材などに使われている。制裁が長期化すると自動車や電子部品への生産へ影響がでる可能性が高い。

 水産物への影響も懸念

金額や数量はそれほど大きくないが、ロシアへの輸入依存度が高いものとして水産物も挙げられる。 カニ(HSCODE : 0306.14)は国内流通量の77%が輸入に依存しており、毎年2~3万㌧輸入される。その中でもロシアの比重が高く、タラバガニはその91%が、ズワイガニは72%、毛ガニは92%、蟹の輸入量全体では6割近くがロシアからの輸入となっている。日本の蟹文化はベーリング海で取れたロシアからの輸入依存によって成り立っている。また、お寿司のネタに使用されるウニも国内流通の6割が輸入に頼っており、内82%がロシア産となっている。 

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