需要回復が不透明な国内の包装需要

  ■ 需要回復が不透明な国内の包装需要

2020年8月

新型肺炎の流行による包装需要の減退は底を打ったものの二次感染の拡大により大幅な回復は期待できない状況となっている。大手一貫段ボールメーカーの稼働が93~98%前後と回復し影響が軽微にとどまる反面、独立系中小メーカーは8割程度の稼働とその影響に大きな差が出ている。

また他業界に比べると比較的影響が軽微だと言われている紙パルプ業界だが、その需要構造は大きくかわりつつあり、コロナ終息後も元にはもどらないであろうという意見が多い。新型肺炎流行以前から進行していた企業の優勝劣敗がより明確になるとみられている。 

 新型肺炎の影響は業界によってまちまち

帝国データバンクや各種統計を用いたAIによる紙パルプ市場分析によると、肺炎流行による包装業界に対するプラス要因は巣ごもり需要によるEC、食品、日用品の消費増(+0.9~1.65%)と原油安によるコスト減(-1.17%)マイナス要因はイベント規制や広告需要減、観光需要やインバウンド減少、輸出入及びトラック輸送の減少(-1.3~3.53%)となっている。業界によりその恩恵と悪影響が真逆に作用している様だ。 

景気全体をみると、日本の4-6月期の実質GDPは前期比▲7.8%、年率27.8%と大幅に縮小した。比較可能な1980年以降で最悪の数字となる。過去日本の不景気時には輸出あるいは設備投資が鈍化し結果として賃金低下や消費低迷を招くことが多かったが、今回は人々の経済活動が止まり、輸出、消費同時に低迷した事が大きな特徴となっている。

また消費活動指数も6月以降回復傾向にあるものの耐久財(家具・自動車・工具・機械)、非耐久財(食品・衣料・日用品)、サービス(理髪・旅行・ホテル・スポーツ・観劇)の分野に分けるとサービス分野の回復が遅れており、消費税増税直後の-20%前後より悪化し3割近い減少となった。

 倒産が相次ぐ中小・個人企業

東京商工リサーチ社の調査によると廃業を検討している中小企業(個人事業主含む)が7.7%にも達しており単純計算で27万6000社が廃業を検討していることとなる。そのうち1年以内の廃業を検討している企業は約半数の45.1%となっており今後一年以内に12万4000社が倒産する恐れがある可能性が出てきた。特に中小企業(資本金1億円以下)は大企業の倒産検討事例より9倍以上の件数となっており、中小企業の置かれた実情は厳しい。

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