■ 米中貿易戦争x新型肺炎で脱中国は加速するのか? 東南アジアで増産される原紙に需要はあるのか?③
2020年9月
18年の各国の資材調達における中国依存度を国別にみると、米中貿易戦争で大きく中国依存を落とした米国で19.4%、世界全体では14%前後となる。
一方日本の輸入に占める中国の割合は23%と突出して依存度が高い事がわかる。その背景には地理的要因と2000年台後半の中国の高度経済成長期に急激な円高が重なり、中国への製造業移転が加速した事が日本の中国依存度を高める原因となった。先日中国での自動車販売台数の回復によるトヨタの黒字転換が報道されていたが、日本が最も中国との結びつきが強い。
みずほ総研の調査によると、中国で生産される付加価値ベースでみた生産額の約6割は中国国内で消費される。中国は世界の工場であり、世界第二位の経済大国と13憶人の消費という側面を併せ持つ。
日系企業も中国生産品の内67.5%が国内向けとなり、これらの内地向け生産拠点を海外に移設するのは非効率で、残りの輸出向け4割がサプライチェーン見直しの対象となると予測している。
その4割を対象に世界の輸出通関統計をベースに分析すると、全HSCODE 6,500品目の内459品目で中国のシェアが50%を超えている。金額ベースでみれば携帯電話が1417憶㌦、PC等の電子機器が959憶㌦、玩具255憶㌦、履物158憶㌦、照明器具138憶㌦となっている。抗生物質等一部の医薬品に於いては中国のシェアが90%を超えているものもある。
日本の中国依存に的を絞ってみてみると50%のシェアを占めるものは1,438品目でそのうち70%を超えるものが769品目、9割を超えるものは276品目もある。特にPCやゲーム機、エアコンといった家電関連は軒並み9割を超え、水産や野菜、化学製品も高い依存率を占める。
これほど多くの品目に於いて高い依存率をもつ日本にとって中国への依存率を下げる事は容易でないことは明確である。それだけの生産設備の移設に見合うインフラの整った国はなく、設備投資も膨大となる。サプライチェーンの強靭性が強く意識される一方で、補助金があってもその問題解決にはまだかなりの時間を要するだろう。
米中貿易戦争x新型肺炎で脱中国は加速するのか? 東南アジアで増産される原紙に需要はあるのか?④