■ 中国景気失速に再生パルプ需要軟化 古紙価格も10~20㌦ダウン
2021年10月23日
中国国内の景気失速感により包装需要が減退し、大手中国製紙企業は東南アジアにある再生パルプ工場を減産あるいは停機させている。
現在の中国向け再生パルプ販売価格は530㌦付近から500㌦以下へと下落し、需要も非常に弱い。中国国内の需要減退と、エネルギーコストの高騰によって500㌦以上の再生パルプはコストが合わない状況となった。
AOCCベースの再生パルプで500~510㌦、その他MIXGRADEは400㌦中盤、JOCCベースは350㌦~と特に繊維長の短い再生パルプはお断りに近い価格になっている。
これを受け国慶節前340-350㌦前後で推移していた東南アジア向けDSOCC#12の輸出価格も仕向け地やユーザーによってばらつきはあるものの10~20㌦程度軟化傾向にある。 東南アジア大手製紙工場向けは#12 CIF SEA $315-325ほどと比較的高止まりしている一方、中小メーカー向けは$290-310となっている。 海上運賃の安い台湾、韓国向けは290~300㌦ともう一段階安い。
AOCC#11は285-320㌦、EOCC95/5は275-290㌦とDSOCCの価格に引きずられる形で価格が下落した。しかし米国サイドではAOCCの輸出価格軟化に対する抵抗感は強い。 中華系再生パルプ工場は不採算から高すぎる#12の価格を下げるべく交渉しているが、米国では国内消費が堅調な上、海上運賃が高止まりしていることからサプライサイドから強い抵抗を受けている。
また南米に於いても古紙需要が増加している上に、東南アジアローカル企業からも原料のタイト感から一定量の引き合いがあるため、需要に対し大きく値崩れしていない状況だ。やむを得ず稼働を止める、あるいは減産する再生パルプ工場もでている。
一方、中国国内の段原紙価格は国慶節明け大きく値上がりしている。中国政府の掲げるCO2排出削減目標に対応するエネルギー制限や石炭ボイラーの使用制限によって製紙企業は減産を余儀なくされた。
景気減退により需要は強くないが、石炭や天然ガスを含む原燃料と苛性ソーダなど製紙薬品も大幅に値上がりし、コスト増と減産による供給不足で段原紙は玖龍紙業を中心に10月に7回にわたり強気に値上が発表されている。値上げ幅は合計70~100㌦になるが、段ボール業界全体の稼働率も64.4%前後と前年度対比10%ほど制限されている上に需要が弱い。大幅な原紙価格の値上がりを製品に添加できない可能性が高く、段ボール企業は苦しい状況に置かれている。