■ マーケットハイライト:先進国の都市封鎖により需要減退
2020年5月27日
新型肺炎の影響によって供給不足となり急高騰した古紙が反転下落し始めている。時系列で事の顛末を追うと、2月上旬中国の都市封鎖によって中国の古紙回収が停滞、引いては原紙不足を誘発。
各国への原紙引き合いが強まり、東南アジアも欧米先進国からの中国振り替え需要により内需が活況となった。その後3月下旬頃から欧米でも感染拡大により都市封鎖が実施、古紙回収と輸出が停滞。世界中で古紙不足が発生し価格が上昇、AOCCは200㌦を超える価格帯へ高騰した。
しかし4月中旬以降状況は一変。先進国の都市封鎖により衣料品や靴、電子部品などの需要が低下。輸出に依存していた東南アジアで包装需要が急激に悪化した。いち早く稼働を開始した中国でも同様だ。
段ボール原紙の需要は弱く、アジア圏で4月20-30㌦、5月に入りさらに10-20㌦価格が下落した。現在のアジア中芯相場は270-320㌦前後で特に輸出依存度の高いインドネシア、ベトナム、韓国に於いてその値崩れが激しい。
各製紙メーカーは需要そのものが停滞している為、これ以上の値下げを行っても販売できる見込みがなく減産、古紙の買い付け量を減らし始めた。また5月初旬より欧州では徐々に稼働を開始し始めており古紙の輸出が再開されている。
海上運賃も一時よりは軟化したことから欧米の古紙を皮切りに古紙の国際相場は下落している。現在の相場はJOCC CIFベトナム155~165㌦、CIF TAIWAN 140~150㌦(CY14.5~15.0)程で価格の軟化は続いている。