■ マーケットハイライト:アジアでの包装需要減退、古紙価格軟化
2020年6月28日
新型肺炎による回収古紙不足と中国からの振替需要で活況となった東南アジア需要により値上がりした輸出古紙価格も5月以降反転下落、現在は下げ止まり感があるものの価格の軟化は続いている。
古紙価格が弱含んだ大きな要因は、先進国の都市封鎖と世界景気の急速な鈍化により、輸出に依存していた東南アジアに於いて包装需要そのものが減退し原紙価格が下落たことが大きい。
欧米での都市封鎖が解除された事により現地での古紙回収が戻りつつあること、海上運賃が下がったことも価格下落を手伝った。古紙価格に先立って原紙価格が崩れ、現在の相場は3月に比べ平均で30-50㌦/tほど値下がりしており、輸出依存の高い地域では50-70㌦ほど値を崩したメーカーもある。
製品の需要そのものが無いため「値下げ=量の回復」には至らない背景から製紙側は減産へと舵を切っており、原紙価格の下げに一服感がでている。しかし古紙発生減の中で現在の古紙相場ではまだ製紙の採算が合わない為方向感に乏しい状態だ。
一方中国では労働節以降下がりすぎた原紙価格が反転若干値上がりしている。
経済活動の再開と原紙在庫が特売により縮小した事もあり不採算を見直す形で原紙価格が上昇した。しかし規制された輸入ライセンスと国内発生減から古紙不足は続いており、原紙価格の底打ちと同時に古紙価格も再度上昇を始めている。
9月以降古紙輸入が禁止になる噂がある中で、各国の古紙発生状況はまだ完全に回復したとは言いえず潤沢に手に入る状況ではない。また5月末より中国各地で大雨が降った影響で国内の古紙発生量が減少し始めている事が古紙の底値を下支えしている状況となっている。
現在の相場はJOCC CIF TAIWAN $125-130 (CY12.5-12.8/kg) CIF VIETNAM $135-140 (CY 12.0-12.5/kg) CIF CHINA $145-150(CY13.5-14.0/kg)で推移している。