■ アフリカで深刻な古紙不足 需要増加と古紙輸出価格の上昇原因
2021年12月16日
南アフリカでは長期間の景気低迷と印刷用紙需要の減退により、過去10年間製紙工場の閉鎖が相次いだ。 しかし昨今の通販需要の拡大と、使い捨てプラスチックからの置き換え需要により段ボールの需要が増加し、転抄や増産が進んでいる。
南アフリカではSappi社、Mondi社Mpact社やNeoPakなど国際的な大手包装企業から、Kimberly-Clark社などの家庭紙企業、さらに地元企業を含めると40社以上の製紙企業か工場を構える。
古紙の回収率も70%を超え、年間120万㌧の古紙が回収され、その内90%がリサイクルされている。 新型肺炎の蔓延以前は回収された古紙のうち余剰分は輸出されていた。
しかし新型肺炎による使い捨て衛生紙の消費量増加や、流通の混乱による回収減によって、深刻な古紙不足に陥っている。 また輸出ブローカーの数は南アフリカの製紙企業の数より多く、昨今の世界的古紙価格の上昇によって輸出量も増加傾向にある。採算面から国内の製紙企業は輸出価格に対抗する価格を出せない事も古紙不足の要因となった。
特に新段(K3)と回収段古紙(K4)の不足が顕著で、今後柑橘果物の季節が終わるとさらに回収量が減少する事が予想される。現在の製紙企業の在庫率は平均の63%の水準となっている様だ。
南アフリカ製紙協会(PAMSA)は、この傾向は今後も続くと考えており、国内の分別回収の促進と回収人の雇用など対策を講じている。しかし国内の製紙企業も昨今の原燃料価格の上昇も重なり苦しい局面に立たされると警鐘を鳴らしている。